また交流戦でパ・リーグが圧勝した。西武、ソフトバンク、日本ハムの熾烈(しれつ)な優勝争いは持ち越しとなったが、セパの格差を生んでいる要因は何か。指名打者制など表面的な違いがあるのは前提で、少し違う視点で掘り下げると、3球団に共通しているのは育成力だ。

今季、西武は育成出身の滝沢、長谷川、菅井が活躍。日本ハムは抑えの柳川、福島らが成長した。ソフトバンクは、生きのいい若手が次々に出てくる。育成選手に限らず、選手をしっかり育てる土壌があるから、戦力層が厚くなっている。

各球団が注力しているデータ野球と育成は、リンクしている。トラッキングデータ(投手のボール回転数、打球速度、走塁速度、守備範囲など)をもとに、AIの活用やアナリストの分析で、戦術などに役立てる。一方で、その数値から育成に必要な技術などを具体的にしている。

3球団は、そのデータの活用もうまいという印象だ。客観的なデータに、首脳陣、選手の感性、主観をかけ合わせないと機能しないと思っている。それは育成、戦術でも同じだ。例えば阪神ルーキー立石の対策。交流戦開幕3連戦で日本ハムが立石の弱点を丸裸にした。内角球が苦手のデータをインプットしながら、バッテリーは2、3戦目には内角を意識し始めたと見るや、内角を見せ球にし、立石が得意の外角球で勝負する場面があった。そういった駆け引き、データを逆手にとる作業は、感性がなければ、うまくいかない。

西武の春季キャンプ初日を視察した際、西口監督から「(捕手の)古賀悠の際どいコースの与四球率が高いので」と実技指導を頼まれ、キャッチングのアドバイスをした。数値に基づく課題を明確にし、監督自ら学ぼうとする姿勢があった。日本ハム新庄監督も同じで、貪欲(どんよく)な姿勢があるから、いろいろ研究できる。

思い切り良く強いスイングができる、力があるボールを投げられる理由のひとつには、対策の根拠、自己分析した上で、効果的な練習もつながっていると思う。

一方、セ・リーグは情けないと思った方がいい。そんなに選手の技術に差があるとは思っていない。データ収集は各球団がやっている中で、分析ノウハウの違いはあるものの、指導者は対策や課題に対し、技術指導できるスキルがあるのか。戦術へ落とし込んで考える思考力があるのか。

使いこなす側の知識など能力も必要だ。そうでなければ、データばかりが先行し、逆効果のケースも出てくる。球団フロントと首脳陣、選手が一体となって組織力となるが、球団全体で何が劣っているのか、検討し直すべきだ。(日刊スポーツ評論家)

西武対巨人 5回表巨人1死一塁、中山礼都を併殺打に打ち取りガッツポーズするアラン・ワイナンス(撮影・滝沢徹郎)
西武対巨人 5回表巨人1死一塁、中山礼都を併殺打に打ち取りガッツポーズするアラン・ワイナンス(撮影・滝沢徹郎)
西武対巨人 ヒーローインタビューを終え記念撮影する西武アラン・ワイナンス(左)と石井一成(撮影・滝沢徹郎)
西武対巨人 ヒーローインタビューを終え記念撮影する西武アラン・ワイナンス(左)と石井一成(撮影・滝沢徹郎)