<センバツ高校野球:済美4-3広陵>◇26日◇2回戦

 広陵(広島)のエース下石涼太投手(3年)は、マウンド付近に立ち尽くして動けなかった。延長13回1死満塁。済美・金子の一ゴロが、一塁手坂田の手に付かない(記録は内野安打)。ボールを拾う間に三塁走者がサヨナラの本塁を駆け抜けた。219球を1人で投げ抜き「こんなに投げたのは初めて。スタンドから多くの方に応援してもらったのに申し訳ない」と無念の表情を見せた。

 手本としているOB野村(広島)並みにテンポよく投げ込んだ。球速で安楽に劣る分、制球と配球で勝負した。6回に連打を浴び3点を失ったが、そこから立ち直った。1番で起用された打撃では無安打。3回の2打席目では152キロ直球を目の当たりにした。「自分も打ち負けないようにしたのですが、本当に速かった」と安楽をほめるしかなかった。延長13回の競り負けに中井哲之監督(50)は「甲子園であきらめないところを見せてくれた。夏に向けて足りない部分を鍛えていく」と話す。【中牟田康】