<春季高校野球静岡大会:聖隷クリストファー6-2島田商>◇27日◇1回戦◇島田球場

 25校による戦いが開幕した。聖隷クリストファーは2-2で迎えた9回、8番丁嵐智暉(あたあらし・ともき)内野手(3年)がサヨナラ満塁本塁打を放ち、島田商を破った。今日28日の2回戦からシード7校が登場。勝者が夏のシード権を獲得する。

 聖隷の丁嵐がヒーローの座を射止めた。9回1死から主将の4番石塚大祐捕手(3年)の二塁打で始まったサヨナラ機。2死満塁となり8番丁嵐に打席が回ってきた。ここまで3打数無安打2三振。「7回のチャンスで三振していたので、何とかかえそうと思った」。初球のスライダーを強振した打球は、風速10メートル近い追い風に乗り左翼の芝生席へ。高校2本目となる公式戦初本塁打で試合を終わらせた。本塁で仲間に次々と抱きつかれた殊勲者は「もうちょっと早く点を取れれば楽になった」。エース鈴木翔太(3年)の今季初登板に報いる一撃に胸をなで下ろした。

 この日もプロ4球団のスカウトが見守った右腕は、右肘の違和感が治まったばかり。久々のマウンドも「下半身を使えばいい球がいく」と丁寧な投球を心掛けた。124球を投げ貫禄の6奪三振も7安打で2点を失った。連戦を見据え延長戦は避けたいところで出た丁嵐の一打に「決めてほしくて信じていた」と感謝した。

 エース鈴木翔のチームと見られがちだったが、3回の1番外山大友外野手(2年)のソロ本塁打が、昨夏以来練習試合も含めてのチーム第1号。貧打で県大会を逃した昨秋から、打線は着実に成長しつつある。

 さらに、野手には発奮材料がある。この日、1年生2人がスタメンで出場。夏に向けて他にも有望株がいるという。丁嵐は「いい刺激」と競争激化に気を引き締める。今日28日の富士市立戦に向けて「ピッチャーの嫌がることをやる」ときっぱり。豪快な1発は忘れて、本来の粘り強さで11年ぶりの夏のシード権獲得に貢献するつもりだ。【石原正二郎】