<高校野球静岡大会:聖隷クリストファー6-3飛龍>◇21日◇2回戦◇愛鷹球場

 プロ注目の右腕が2年連続で大物を食った。聖隷クリストファーのエース鈴木翔太(3年)が、第3シード飛龍を相手に8安打5四死球11奪三振で完投。4番打者としても勝ち越しの2点適時打を放ち、勝利に導いた。昨夏4回戦の、第1シード静岡戦をほうふつとさせる強豪撃破だ。プロ12球団のスカウトが見守る中で、初優勝への第1関門を突破した。3回戦は明日23日に行われる。

 1年前に静岡打線を2安打1失点に抑えて名を上げた夏男・鈴木翔が帰ってきた。鬼気迫る表情で投げる。7、8回は三振で締めて激しくほえる。迎えた9回は、2死一塁から最後の二ゴロを見届け両腕を天に突き上げた。直球の伸びはいまひとつも変化球がさえ、11奪三振のうち6個がクリーンアップから。抜群の勝負強さで2時間40分の大一番を制した右腕は「うれしいです」。子どもたちに握手を求められるほど、大観衆を魅了した150球だった。

 秋春連続県3位の強力打線との対戦だった。1回には先頭打者本塁打を浴びる。昨夏の準決勝常葉学園橘戦と、この春の県大会2回戦富士市立戦でともに敗れ、「負けるイメージのある」球場だ。

 嫌な流れは仲間が振り払ってくれた。5回に無死二、三塁から代打半田亮太郎内野手(3年)の犠飛と3番河合毅弥内野手(1年)の高校初本塁打となる2ランで逆転。再び追いつかれると、自らのバットで決着をつけた。7回1死二、三塁から中前へ抜ける勝ち越しの2点適時打。昨秋、貧打に泣いたチームの面影はすっかり消えた。

 明日23日の吉原戦からは、いよいよ7日間で5試合を戦う正念場に入る。もっとも、鈴木翔は「コンディションはまだ60点。打線も調子が上がってきた」と道半ばを強調。鈴木洋佑監督(35)も昨夏4強の打線と比べ「上昇度は今年の方が上」と手応えが増してきた。夏は勢い。プロのスカウトの評価も取り戻した右腕が、うなぎ上りに頂点を目指す。【石原正二郎】