<全国高校野球選手権:常総学院9-1福井商>◇18日◇3回戦

 常総学院(茨城)は9番眼龍(がんりゅう)達矢外野手(2年)が5回に先制ソロを放ち、優勝した03年以来の準々決勝進出を果たした。

 常総学院の9番・眼龍の目が光った。0-0の5回の先頭打者として打席に入った。「直球を待っていました」と狙いをしぼって、カウント1ボールからの2球目、真ん中高めに入った120キロの直球を見逃さなかった。左翼席へ運んだ先制弾は公式戦初となる1発。「驚いているとしか言えません。チームを勢い付けられてよかった」と、眼光鋭くではなく、穏やかな表情で振り返った。

 2年生でメンバー入りを果たしたが、甲子園で背番号が2桁になった。春から夏の茨城大会まで背負った「7」から「15」へ。だが、落ち込まなかった。大阪入りしてから毎日、夕食後に宿泊先のホテル近くの公園で素振りの練習に熱を入れた。肩を開かず、肘をコンパクトにたたむことを意識した。初戦の北照戦は3打数無安打、2回戦の仙台育英戦は代打で出て1打数1安打。地道な素振りと眼龍の「眼」が、甲子園での初本塁打を呼び込んだ。

 眼龍という名字は珍しく、眼龍本人によると「聞いたところによると全国に30世帯ぐらい」。父一典さん(54)によると、眼龍の先祖は武将「前田利家」ら代々の加賀藩主に仕えた眼医者だったという。眼医者の子孫だから、というわけではないだろうが視力は左右ともに2・0。さすがに守備位置の右翼から捕手のサインは見えないというが、眼龍は「球の見極めもよく出来ました」と笑顔で話した。

 常総学院は優勝した03年以来の準々決勝進出だ。佐々木力監督(47)が「優勝した時のチームに比べて打力がある」と話す強力打線の中で、眼龍は守備力を買われて起用されている。主導権を握る1発を放った9番打者は「本塁打だけでは全然ダメです。他の打席はスライダーに手を出してしまいましたし。しっかり見極めたい。先輩たちと優勝したいです」と気を引き締めていた。【栗田尚樹】

 ◆眼龍達矢(がんりゅう・たつや)1996年(平8)7月30日、土浦市生まれ。小学2年から野球を始め、6年時のソフトボール投げ全国大会で78メートルを投げ7位。土浦一中では軟式野球部。常総学院では1年秋からベンチ入り。高校通算本塁打は練習試合での3本と、この日の1発。書道は2段の腕前。175センチ、73キロ。右投げ右打ち。O型。家族は両親、姉。