ついに球児たちの春が開幕だ。高校野球の練習試合が8日、解禁され、今春センバツ(21日開幕、甲子園)に出場する各校が今季初実戦を行った。佐野日大(栃木)のドラフト上位候補左腕、田嶋大樹投手(2年)は、静岡・菊川市で行われた常葉学園菊川(静岡)戦の5回から登板し、2回無安打4奪三振、最速144キロをマークした。

 田嶋の投球に、スタンドがざわめいた。静岡の常勝軍団・常葉学園菊川を相手に5回からリリーフ登板。5回を無難に3人で終えると続く6回、1番前川に対する3、4球目で立て続けに144キロをマークした。昨年よりしなやかさが増したフォームから繰り出された直球は、最速まであと1キロに迫るものだった。2回4奪三振無失点というパーフェクトな内容。見守ったスカウト陣からは「上下のバランスが良くなった。今日の感じなら、甲子園では148(キロ)ぐらい出てしまうんじゃないか」との声も飛び出した。

 まだ万全とは言えないだけに、本人が一番驚いた。「え!

 そんなに出ていたんですか。びっくりしました」。昨秋に関東大会で左足首の靱帯(じんたい)を痛め、本格的なピッチングを開始したのは先週から。オフは上半身中心のトレーニングを繰り返していた。練習解禁日を迎えるにあたり一抹の不安もあったが、さすがエースというところを見せつけた。「(今日の出来は)70…いや、60ぐらいでした」と、相変わらず控えめなポーカーフェースだが、思った以上の好感触をつかんだことは間違いない。

 松本弘司監督(62)も「ケガの影響はないね。本人もホッとしたのでは」と一定の評価を与えた。田嶋は「あと1週間しっかり投げて100%に近くなるように努力したいです」と、左腕はピッチを上げていく構えだ。【和田美保】

 ◆田嶋大樹(たじま・だいき)1996年(平8)8月3日、栃木・宇都宮市生まれ。鹿沼ボーイズでは中3時にAA世界選手権に出場し銅メダルを獲得した。昨秋の公式戦は7試合55回を投げ自責点3、防御率0・49。関東大会では横浜相手に3失点完投勝利。スライダーは楽天ドラフト1位の松井裕投手を手本にしている。182センチ、75キロ。家族は両親と弟。左投げ左打ち。