<高校野球長崎国体:聖光学院3-2海星>◇14日◇1回戦◇長崎県営

 プロ志望届を提出した聖光学院(福島)の八百板卓丸外野手(3年)が、ピンチを救った。海星(長崎)を1点リードして迎えた9回表の守備で、1死一、二塁から右前への飛球をダイビングキャッチ。打撃は1安打に終わったが、守りで存在感をアピールした。チームは8回裏に石垣光浩内野手(3年)の放った2点三塁打で逆転勝ち。今日15日の2回戦で日本文理(新潟)と対戦する。

 守備で勝利を引き寄せた。最終回、1死一、二塁。この回に左翼から右翼に回っていた八百板は、3番中嶋の強烈な打球に反応し、左手のグラブを前に伸ばしながら体を投げ出してキャッチした。海星の逆転ムードをスーパープレーで打ち消して「準備はできていました。守備範囲の広さが外野手の見せ場だと思うので」と満足そう。斎藤智也監督(51)も「足がチーム一の子。よくあそこで飛びついた」とたたえた。

 俊足強打の1番打者として、夏の甲子園では15打数8安打と活躍して8強に貢献した。進路に悩んだが、斎藤監督に「今、勝負をかけないと」と背中を押されて9月末にプロ志望届を提出した。3年生にとって“思い出作り”の意味合いもある国体だが、「これも評価の対象」と気合十分で長崎に乗り込んできた。試合前の打撃練習の感覚が良かったことから3打席連続初球打ちで、足で稼いだ内野安打1本。4打席目は四球を選んだが「今日は空回りました」と苦笑いだった。

 現在、楽天1球団から調査書が届いている。八百板は「高卒でプロ入りするのはすごいこと。育成でも入りたい」と、どんな形でもプロの世界に挑戦したい気持ちを表した。「自分は粘り強く、がむしゃらにやるべきことを必死にやるだけ」。国体で力を出し切り、23日のドラフト会議を待つ。【高場泉穂】

 ◆八百板卓丸(やおいた・たくまる)1997年(平9)1月17日、福島市生まれ。鎌田小1年で野球を始め、福島三中時代はのだまクラブで投手、内野手で3年時に全国大会出場。聖光学院では2年秋からベンチ入り。180センチ、76キロ。右投げ左打ち。家族は両親と1歳上で聖光学院OBの兄飛馬。名前は江川卓氏の「卓」と野球のボールを表す「丸」から。