<センバツ高校野球:甲子園練習>◇18日◇甲子園

 秋田商は30分の練習時間をすべてノックに費やしたが、ナインは大舞台での練習に緊張し、ミスを連発。見かねた太田直監督(30)がマウンド付近に選手を集めて選手を諭すと、次第に軽快な動きを見せ始めた。東北勢では甲子園練習も初戦(26日=北海道・北照戦)も最後の登場。太田監督は「まだ時間もあるし、これからです」と焦りは感じさせなかった。

 あこがれのグラウンドに緊張し、いつもの華麗な連係プレーが見られない。落球、送球ミスが続いたところで、太田監督が練習を止めた。「甲子園では、普段できていることができないから」。円陣を組んだナインに何かを気付かせるように言い放ち、指揮官は輪の中から抜けた。気持ちが乗っていない-。すぐに感づいた選手たちは「行くぞ~!」の大声で定位置に戻ると、まるで別チームのように軽快なグラブさばきを披露。調子を取り戻した。

 3月上旬、地元秋田では積雪の影響で土の上でのノックができなかった。練習不足を補うため「守備1本」にしぼって、甲子園練習に臨んだ。

 17日は世界遺産の熊野古道を歩いた。約4時間、道なき道を登り続け、心身を鍛錬。秋田に似た、澄んだ空気を味わいリフレッシュした。麻生真主将(3年)は「ホントにきつかったけど、気分転換になりました」。英気を養い、聖地に乗り込んだ。

 初戦は1回戦最後の試合。同じ雪国の北照と対戦する。主軸の松橋龍生三塁手(2年)は「今日(18日)は緊張して動きが硬かったけど、本番は1発打てる気がする」と自信あり。甲子園練習の苦い経験は、試合で必ず生きるはずだ。【湯浅知彦】