日米のプロが注目する最速144キロ左腕、東海大望洋・真下(まっか)貴之投手(3年)が悲願の初甲子園を目指す。第91回全国高校野球選手権千葉大会(7月10日開幕)、神奈川大会(7月12日開幕)の組み合わせ抽選会が13日、それぞれ行われた。春季関東大会で一躍注目を浴びた187センチの大型左腕は、175校の頂点へ向けて順調な調整を行い、14日に天羽-磯辺の勝者と対戦に備える。本大会は8月8日から15日間、甲子園球場で行われる。

 真下は日本ハム・ダルビッシュのような長い腕をしならせながら最速144キロの直球と、縦のカーブで勝負する。チームメートからは、キューバのWBC代表で最速164キロ左腕、チャップマンと呼ばれることがある。長身、細身の風ぼうがほうふつさせるからだ。春の県大会6試合46イニングを投げて58奪三振、失点はわずか1。防御率0・20、被打率8分9厘、奪三振率11・35を誇る本格派。スライダーもあるが「直球とカーブで十分抑えられる」と、その完成度には自信をのぞかせる。

 「まっか」と読む珍しい名字をとどろかせたのは春だった。「名を上げようと思っていた」と、その野望を明かす。ブロック予選・千葉国際戦では圧巻の20奪三振1安打完封。県大会を勝ち抜いて、関東大会でも日大三(東京)を相手に4安打8奪三振の完封劇を演じた。プロ12球団に加え、メッツとマリナーズも熱視線を注いでいる。

 2回戦で敗退した昨秋の悔しさを胸に抱えながら、冬を越した。体幹と下半身を重点的に鍛えた。200本を超すダッシュを毎日続けた。「夏までは先輩エースに甘えてた。でも、今度は自分がやんなきゃいけない」と、意欲的にトレーニングに取り組んだ。相川敦志監督(48)も「同じ練習でも、取り組む気持ちで成果は違う。冬は真下が一番伸びたね」と、エースの成長を振り返る。

 相手が強ければ強いほど燃えるという。同じ左腕のセンバツ準優勝校・花巻東の菊池雄星(3年)とも比較されるが「自分は自分なので意識はしない。ただ、甲子園で当たることがあれば倒したい」と強気の姿勢は崩さない。

 進路には大きな注目が集まるが「まずは夏が終わってから。春よりも夏に活躍しなきゃ意味がない。『これがおれだ』というのを見せつける」と、まずは悲願の甲子園に全力を注ぎ込む。