前回昨シーズンの出場停止から復帰後、好調を伝えたヤンキースのAロッドことアレックス・ロドリゲス内野手。その後少し調子を落とし、29日終了時点での打率は2割3分2厘となっている。

 しかし、26日のメッツ戦では今シーズン5号となる本塁打を放った。これで通算本塁打数は659となり、ジャイアンツで活躍したウィリー・メイズ元外野手の持つMLB4位の記録660本にあと1と迫っている。あと1本でタイとなるが、そうなるとヤンキースは900万ドル(約10億800万円)もの出費を負担しなければならないかもしれない。

 Aロッドはヤンキースと2007年に10年2億7500万ドル(約330億円)という大型契約を結んだが、この契約には別に総額3000万ドル(約36億円)のマーケティング条項が設けられているのである。そしてその条項には通算本塁打トップ4位の記録に並ぶと毎回600万ドルのボーナスが支払われることになっているのだ。

 それに沿えばAロッドが660号を打てば、ヤンキースはAロッドに600万ドルを支払うことになる。が、それで終わらなそうなのだ。27日付けの地元紙ニューヨーク・タイムズによれば、ヤンキースは今シーズンの年俸総額がいわゆる贅沢税の上限を超えており、超過分については贅沢税をリーグに納めなければならないのだという。

 贅沢税の税率は50%で、Aロッドのボーナスに対しては300万ドルとなり、計900万ドルの出費というわけだ。

 ただヤンキースがボーナスの支払いを拒否する可能性もあるという。これは禁止薬物使用スキャンダルと昨シーズンの出場停止がヤンキースのビジネスを傷つけており、マーケティングに悪影響を与えたことを理由とするものだ。実際、Aロッドを含むスキャンダルは2年以上に渡り、チームだけでなくMLB全体に大きなダメージを与えたのは事実である。

 とはいえ、これは契約の問題であり、支払いを拒否できるのだろうか。同紙はヤンキースは支払いの「権利はあるが義務はない」としているのだが。

 Aロッドの次の1本はまたも波乱を生むことになるかもしれない。