ニューヨークの地元紙ニューヨークポストの電子版は23日付でMLBが早ければ2018年にもイギリス・ロンドンでいくつかのゲームを行うことを検討しており、最初の参加チームがヤンキースとレッドソックスになるかもしれない、と関係者の話として報じた。

 永遠のライバルともいえるヤンキースとレッドソックスが対戦するカードであれば、たしかにベースボールの人気がまだ高いとはいえないロンドンでも人気を呼びそうではある。ただちゃんとした理由があると同記事は指摘している。両チームともサッカーのイギリス・プレミアリーグのチームとつながりがあるというのだ。たしかにレッドソックスのジョン・ヘンリー・オーナーはリバプールのオーナーでもある。さらにヤンキースはマンチェスターシティと共にアメリカ・メジャーリーグサッカー(MLS)ニューヨークシティFCの共同オーナーとなっている。つまりこうした関係をイギリスでの人気拡大策に利用できるだろうという思惑があるというのだ。

 この件についてヤンキースのランディ・レビン社長は同紙に対し「ヤンキースは偉大なベースボールのゲームをロンドンに持ち込むための最前線にいてきた。実行のためのいくつかの意味ある試みが存在している。そこで直ちにプレーできることを期待し、信じている。ロンドンでレッドソックスと対戦することは特別で他にはないイベントとなるだろう」という実現に前向きな声明を出している。

 と同時にサッカーの聖地ウェンブリー・スタジアムはベースボール向きではないとしてオリンピック・スタジアムで開催されることになるのでは、としている。

 MLBの海外での公式戦開催は1996年に開始されたが、今年5月のプエルトリコでの開催がジカ熱への懸念から中止されたこともあって2014年のオーストラリア開催が最後となっている。

 ちなみに今回の開催見込みが2017年ではなく、2018年となっているのは2017年はWBCが開催されるため、開幕時期の海外遠征は日程的に難しいという認識があるためのようだ。

 ではなぜ急に海外開催への前向きな姿勢が示されるようになったのか。それは今月結ばれた新労使協定がやはり背景にある。実は新協定で海外開催の項目が設けられ、向こう5年間人気拡大のため、アジアやメキシコ、プエルトリコ、ドミニカ共和国、ロンドンでのゲーム開催が合意されているのだ。さらにこうしたイベントに参加する選手に対して1万5000から10万ドルの補償金が支払われることも明記された。

 こうした明文化によって海外進出がしやすくなっているのである。さて期待通り再来年、ヤンキースとレッドソックスをロンドンで見ることはできるだろうか。