マーリンズのイチロー外野手(41)が、メジャー通算1万打席に到達した。「2番右翼」で出場したパイレーツ戦の第1打席。右飛に倒れ、安打でこそ飾れなかったものの、区切りの数字に届いた。15シーズン目での到達は、ピート・ローズの14シーズン目に次ぐ史上2番目のスピード。また、7回裏には今季11個目の盗塁に成功し、メジャー通算500盗塁まであと「2」と迫った。

 1万回目の打席でも、15年前と同じように、イチローは膝の屈伸を繰り返し、マウンドへ向かってバットを掲げた。マリナーズ入りした2001年4月2日。アスレチックスとの開幕戦の1回裏、二ゴロに打ち取られたのが、メジャー初打席だった。以来、15年の歳月の間に9999回。イチローは常に変わることなく、神経を研ぎ澄ませて打席へ向かい続けてきた。

 イチロー いろんな記録がそうだけど、1つずつ積み重ねるしか方法がないことの1つ。それなりの思いはありますけどね。

 その間、2923本の安打を積み重ねてきた。ローズに次ぐスピード到達とはいえ、ここ数年は代打などの途中出場が増加。納得できるペースではなかった。

 イチロー その割に安打が少ないというのはある。自分の通常の力を出せていたら、もっともっと早く到達しただろうし、そういう不満はあるけどね。

 通算安打数をはじめ、大記録を超えるたびに、イチローはその裏側にも目を向けてきた。1万打席中、アウトは6347回。安打数の2倍以上、悔しい思いを繰り返してきた。

 15年前のメジャーデビュー戦。ア軍ハドソンに3打席連続で打ち取られた際、イチローは一瞬、笑みを消して言った。「やり返す? そういう気持ちがないと打席には立てません」。プロとして打席に立つ気概。過去1万回打席に立ち、41歳になった今もなお、イチローの打者としての欲求、本能は変わっていない。【四竈衛】