不敗神話に勝ち星も伴ってきた。ヤンキース田中将大投手(27)がレイズ戦に先発し、巧みな投球で3勝目を挙げた。7回で許した走者は安打2人のみの無失点に抑え、今季初の2試合連続勝利。開幕から10試合に先発してまだ敗戦投手がなく、ヤ軍では04年オーランド・ヘルナンデス(13試合連続)以来の2ケタ無敗記録となった。

 ストライク先行でテンポ良く、7回まで0を並べた。田中は4回まで1人の走者も出さない完全投球。「右バッターへ効果的に投げられていたと思いますし、左バッターの遠いところにもしっかりと投げられていた」と内外角を広く使い、相手のバランスを巧みに崩していった。

 前回登板の21日アスレチックス戦から、投球プレートの立ち位置を三塁側から一塁側に変えた。マキャン捕手が「打席からのアングルが違うし、投球に大きく影響する。マサヒロにとっては大きな修正だった」という大胆なスタイル変更。それでも田中は「ゲームで1度慣れたことが、大きかった。今日は何の違和感もなく、スムーズに投げられた」と、2試合で完璧に感覚をつかんでいた。

 5回には初安打と暴投で走者を進め、無死二塁と初めて得点圏のピンチを背負った。続くモリソンの中堅へ抜けそうなゴロを好捕し、俊敏な動きで自ら二塁走者をタッチアウト。ジラルディ監督が「今度、ナ・リーグ球場で代走に起用するかもね」と驚く速さで傷口を広げず、7回を82球と余力を残して強力救援陣につないだ。「前回より制球も安定していたし、ボールもキレがあったと思う」と納得の投球で、マウンドを降りるときには「たぶん、自然と」と笑みがこぼれた。

 これで開幕から10戦無敗で、チームの連敗も2で止めた。13年に楽天で記録した24勝0敗が記憶に新しいが、田中は「負けでしょ、という内容を消してもらっているから、13年のときと全然違います。クオリティースタートで1年間投げ通したあの年とは内容が…。今年は何も良くないから」と満足してない。それでもビジター防御率1・34はリーグ1位と、安定感ではエース級の働きだ。今日28日は仲の良いレンジャーズのダルビッシュが復帰するが、「投球は見たいと思います」と楽しみにしていた。【水次祥子】

<田中の防御率メモ>

 ◆外弁慶? 田中は今季敵地では5試合で計5失点のみで、ビジター防御率1・34はリーグトップ(敵地で20投球回以上)。本拠地では5試合で計17失点(自責16)、防御率4・55と大きな差がある。

 ◆休養十分? この日のレイズ戦と同じく中5日で登板した場合、今季は5試合で2勝0敗、防御率1・26。中4日では3試合で防御率5・68と打ち込まれている。