レッドソックスが3年ぶり8度目のア・リーグ東地区優勝を決め、上原浩治投手(41)と田沢純一投手(30)がシャンパンファイトに喜びを爆発させた。ヤンキース戦で、上原は8回の1イニングを無失点に抑えたが守護神キンブレルの乱調で逆転サヨナラ負け。ただし、地区2位のブルージェイズが負けたため、優勝が決まった。

 全身びしょ濡れになりながら、ボトルを抱えてはしゃぐ上原の姿があった。田沢はやや控え気味ながら、勝利の美酒を存分に浴びた。シャンパンはあっという間にすべて空になり、代わりにビールのボトルを振りながらかけ合い、しぶきが部屋中に飛び散っていた。優勝の瞬間は静かだった。伝統のライバル・ヤ軍の敵地ヤンキースタジアム。しかも、逆転サヨナラ満塁弾を浴びて敗戦して決まった地区優勝。フィールドではハイタッチもハグもなかった。しかしビジターのクラブハウスでは、思い切り羽目を外した。

 上原は右胸筋痛のため7月20日から戦列を離れて9月5日に奇跡的に復帰し、チームの快進撃の大きな戦力になった。この日も3点を先制した直後の8回に登板。故障から復帰後は10試合連続となる無失点を演じた。「今日の試合のことはいいでしょ。こうやって勝ったわけですから。1番になったわけですから」と笑顔。レンジャーズ時代も含め自身3度目の地区優勝だが、今季は「医者の話を聞いても今年は終わりかなとある程度覚悟してたんで」と、万感の思いがある。「けがをしている期間が一番つらかった。まだ続きがあるので頑張ります」と感慨に浸った。同年代の主砲オルティスが引退することもあり「(シャンパンかけが)あと何回もあるか分かんないですけど、1日でも長く一緒にできたらいいと思います」と世界一への思いも強い。

 田沢にとっては今季、不調もあり苦しいシーズン。ワールドシリーズを制覇した13年と違い「達成感は得られていない」と言う。「シーズン後半、投げない日も多かったんで、チームに貢献できなかったことは悔しいですけど、残りのシーズンをしっかりやりたいなと思います」と誓った。2人にとって、胸に期するものが多い優勝だった。【水次祥子】