マエケン、先発ローテーションを死守-。ドジャース前田健太投手(29)が、フィリーズ戦で今季最長となる7回を投げ、5安打2失点、8三振1四球と力投し、2勝目(2敗)を挙げた。開幕以来、不本意な投球が続き、ローテ落ちの可能性もあったが、カットボール主体の新スタイルで「合否テスト」をクリアした。

 7回を投げ終えた前田を、笑顔のロバーツ監督が待っていた。固い握手を交わすと、同僚とはハイタッチ。「ホッとしてます。勝ちの喜びをいつも以上に感じてます」。6回裏の打順でも代打を告げられず「意気に感じました」。監督の期待に応え「合格」を手にした。

 マウンドに向かう前田の胸中では、かつてない危機感が交錯していた。「今日ダメだったら外されるかもしれない、という覚悟。プレッシャーはありました」。開幕後4戦でクオリティースタート(6回、自責3以内)がなく、防御率は8・05。前回登板(22日)では自己ワーストの4被弾でKOされ、この日は先発残留をかけたテストだった。

 逆境を力に変えた。初回、左打者2人を内角へのカットボールで内野ゴロに仕留め、好感触をつかんだ。最速93マイル(約150キロ)の速球に頼らず、ボールを動かし、低めを突いた。「新しい投球スタイル、打ち取り方ができました」。101球中、カットボールは最多の27球。開幕後は封印していたが、春季キャンプで取り組んだ新球だった。

 前回登板後、ロバーツ監督と打開策を話し合った。結論は「僕はパワーピッチャーじゃない」。約15球の登板間調整を今回はカットボールを主体に3倍以上投げ込んだ。ノーワインドアップへの変更は、広島時代の13年6月に阪神を完封し、不調を脱した時と同じだった。とりあえず先発枠を維持し「これでゆっくり眠れます」。だが油断は禁物。「大事なのはこれからです」と次をみすえた。【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)=四竈衛】