記念品のプレキシガラス製プレートも、これまで見たことのないような力作だった。3000本それぞれの安打を放った際の写真をすべて合わせて横2・6メートル、縦1・2メートルの巨大プレートに仕上げた。

 写真を集めるだけで1カ月以上かけ、多くの球団職員によって完成された。サムソン社長によると「ロリア・オーナーから、他にない、一生の記念になるものにしようということで、これに決まった」という。イチローは「アートだね。(画商の)ロリアっぽい。あれを置ける家を買わなきゃいけないですね」とちゃめっ気たっぷりに笑った。

 試合が始まると、攻守交代時にはマリナーズ時代の恩師ルー・ピネラ氏ら球界関係者の祝福メッセージが流され、元同僚で通算630本塁打を誇るケン・グリフィー氏らもビデオで登場した。イチローは代打の準備でベンチ裏にいたため「見られていないんですよ」。それでも多くの人に感謝している様子だった。

 試合では6回1死で代打で登場。1度もバットを振ることなく一塁へ歩いた。右手でバットを持ったおなじみの姿や「3000」などが記された記念球で行われた一戦。誰よりも拍手、歓声を送られていたのはやはりイチローだった。【水次祥子】