<巨人3-4アスレチックス>◇22日◇東京ドーム

 巨人のエース上原浩治投手(32)がアスレチックスとのオープン戦(東京ドーム)に先発し、2回2安打無失点に抑えオープン戦最終登板を終えた。新球シュートでクロスビーのバットをへし折って併殺に仕留めるなど、4月1日の本拠地開幕(中日戦)へ万全の状態をアピール。熱視線を送ったメジャー関係者も絶賛だった。試合は3-4で逆転負けした。

 圧巻だった。上原は2回に連打で無死一、二塁とピンチを招いたが、ここから真骨頂を発揮した。打席には長打力のある6番クロスビー。初球、外角の142キロ直球でファウルさせた後の2球目だ。キャンプから練習してきた内角シュートで、胸元を思い切りえぐった。バットを根元からへし折って、三ゴロ併殺に仕留めた。

 「シーズンでも使うであろうシュートで詰まらせてゲッツー。あれが理想的やったな」。ア軍のゲレン監督を「巨人の投手は球が速く緩急をうまく使う。特にウエハラだ」とうならせた。4月4日にFA権を取得する。この日は上原の動向を注目するメジャースカウト陣が熱視線を送った。ヤンキース駐日担当のスカウトは、試合前練習からグラウンドで視察した。アストロズのグレン・ベイカー環太平洋担当スカウトは「フォークをはじめ、面白い球種を持っている。十分通用する」と絶賛。静かに着実に調査は進められている。

 だが上原はシーズン終了までプレーに集中することを決意し、メジャーの動きには興味を示さなかった。今季初となる本拠地のマウンドに向かう際、テーマソングの「PRIDEのテーマ」はかからなかった。上原は「本当は音楽がない方がいいが、曲をかけるならファンのみなさんを盛り上げてマウンドに送り出してもらう方がいいかな」と、ノリのいいトランスミュージックの「GRAND

 SHAKE」に変えた。「投げ込む日を1日つくって、本番に備えたい」。4月1日、同じ舞台で中日戦。メジャー相手に最終調整を終えたエースが、ライバルの前に仁王立ちする。【宮下敬至】