<マリナーズ4-5エンゼルス>◇4日(日本時間5日)◇セーフコフィールド

 【シアトル(米ワシントン州)4日(日本時間5日)=木崎英夫通信員】イチロー外野手(34)が所属するマリナーズに“お家騒動”で激震が走った。エンゼルス戦でイチローは2安打したが、試合は4-5で敗れ4連敗。借金18で早くも優勝が絶望的な状況だ。試合前にはアームストロング球団社長が、首脳陣を集め一喝。試合後にはマクラーレン監督が「F●CK」と放送禁止用語を連発した。球団フロントと首脳陣のゴタゴタでマ軍が崩壊寸前だ。

 試合後、クラブハウスで取材に応じていたイチローはマクラーレン監督の異変に気付き、日本人記者に逆取材した。「何かあったの?

 でも明日オフだからね…」。遠征で地元シアトルからは離れるため、騒動から冷却期間を置けるという意味か。イチローが言葉に困るほど深刻な事態がチーム内に起きた。

 ア・リーグ西地区首位エンゼルスに力の差を見せつけられ、痛恨の4連敗。マクラーレン監督は日米メディアの会見で、耳を疑うようなコメントを連発した。

 マクラーレン監督

 もう負けるのはたくさんだ!

 選手たちの尻をたたくのもうんざり!

 ファンもオレも、そして選手たちも頭にきている。これが現実だ!

 普段は冷静で温厚な監督が怒り爆発。それもメガトン級だった。会見中に何と「F●CK」を含めた放送禁止用語が、13回も飛び出したほど。ほとんどのコメントが、その暴言でかき消されていた。この模様は地元テレビ局によって、「ピー」の音入りでファンにも流れた。

 ついに借金18。試合前に伏線があった。実は低迷を見かねたアームストロング球団社長が首脳陣を緊急招集。地元紙によると、部屋からは同社長の罵声(ばせい)が聞こえてきたという。たまったストレスは、現場だけではなく球団フロントも同じだった。

 1点差の6回2死一塁からイチローが左中間へライナーのヒット。この当たりで一塁走者ベタンコートが三塁まで進んだが、パローゾ三塁コーチはそのまま腕を回し本塁突入の指示。あっけなく本塁で憤死した。次打者は3打数3安打のロペスだった。イチローは「3の3で迎えているバッターが次にきていることも踏まえたのかもしれない。3本打った後の4本目は出る可能性は低いからっていうことを計算してたら大したもん」とかばったが、結局は1点差負けで致命的なミスになった。

 打線は相手を上回る12安打を放ちながら、拙攻が目立った。そんな試合内容もマクラーレン監督の逆上に拍車をかけた。ここ数日、リンカーン最高経営責任者、アームストロング球団社長の姿が連日見られるようになった。

 監督室前でバベシGMは監督の暴言に「頭にはきていたけど選手を守ろうとしていた。彼はここまで辛抱してきた。激怒する時がきたんだ。ずっと前からその時はきてたんだけど…」と皮肉な言い回し。地元メディアによると、試合後は選手全員にすぐに帰宅せず報道陣に敗因を説明するよう指示が出たという。フロントと現場のお家騒動。イチローが信頼を寄せるマクラーレン監督の去就を含め混沌(こんとん)とした状況だ。8年連続200安打、日米通算3000安打を目指すイチローに影響が出なければいいが…。