<パドレス2-9マリナーズ>◇29日(日本時間30日)◇ペトコパーク

 【サンディエゴ(米カリフォルニア州)6月29日(日本時間同30日)=木崎英夫通信員】マリナーズのイチロー外野手(34)がパドレス戦で5打数5安打と爆発した。シーズン折り返しの81試合目で今季100安打として、ついに年間200安打ペースに乗せた。3000本安打へもあと30本とした。今季の達成目標に挙げた張本勲氏の日本最多3085安打までは、後半の81試合で115本が必要となる。イチローが一気にペースを挙げ始める予感だ。また、城島健司捕手(32)は出場しなかった。

 2年前の春にWBC世界一に輝いた思い出の場所、ペトコパークで通算7度目となる5安打のワンマンショーを披露した。

 昨季ナ・リーグのサイ・ヤング賞のジェーク・ピービ相手に3本を浴びせた。第1、第2打席目はそれぞれ速球を打ち、右前と中前にライナーで運ぶ。第3打席はカウント2-1からの勝負球、外寄り130キロのスライダーを中前にはじき返した。3安打は今季9度目。だが、この日のイチローは、4打席目からに燃えた。

 「この時点で(今季)4安打が1試合もないのは計算に入ってないことでしたから。かと言って、簡単なことではないので。チャンスはそうそうあるものでもないしね」。今季、3連続安打は3回。直後の4打席目は敬遠の四球と凡打でいずれもあと1本が出せなかった。「3本出した後の4本目は出にくい」と長い経験からも痛感している。

 それでもこの日の集中力は違った。代わった2番手コーリーと対峙(たいじ)すると、カウント2-1からの4球目、外角に沈んでいく130キロのチェンジアップをバットに乗せ最後は右手1本で左前に運ぶ“らしい”巧打で突破。これが今季99本目だった。

 それでも緩めない。「あと1本で100っていうことで強い思いがあったけどね、最後は」。シーズン折り返しの81試合目で100本を出せば8年連続の200本ペースを生む。

 8回、先頭で回った第5打席、3番手ゲバラからライナーの強い打球で中前へと打ち返し、シーズン200安打ペースに乗せた。

 「100(本)に対する気持ちと3つ目終わった後の4つ目を出す気持ちというのはモチベーションは違うけども強さで言うと変わらない気持ちかな」。今季、固め打ちができずに安打数と打率で苦しんできたイチローは最後にポツリと言った。

 「バッティングというものに対するスタンスを考える、特に今日はね。そういう前半戦だったと思うね」とも振り返った。イチローが日米通算3000本、その先の8年連続200安打へまい進する手応えを十分に感じ取って、シアトルへ戻っていった。