復刻・98年3月、伊良部・大暴れその2
<1998年3月9日、日刊スポーツ紙面より>
【タンパ(米フロリダ州)7日(日本時間8日)=平井勉】ヤンキース伊良部秀輝投手(28)がタイガース戦登板後にプッツンして、日本のテレビカメラマンに暴行し、カメラマンのビデオテープ、フィルムを取り上げる暴挙に出た。試合では先発で4回を被安打2、3四球の無失点に抑える内容だったが、全米ネット局のESPNでも伊良部の大暴れシーンが流された。球団も事の重大さに急きょ調査に乗り出し、伊良部に何らかの処分が下されるのは必至の状況となった。
◇オープン戦(7日・レジェンドフィールド)
タイガース 00000011201-5
ヤンキース 02100100001-5
(延長11回)
【タ】サンダース、フローリー、コーデロ、アンダーソン、マルチネス、ハースト―カサノバ、ベイコ
【ヤ】伊良部、ヘレディア、ルーニー、S・ウイリアムズ、スタントン、アイシェン―ポサダ、フィッガ
(本)トンベーリン(タ)スワイム、フィッガ(ヤ)
新たなトラブルは、登板に関する会見後「この際、言っておきたいことがある」と、伊良部が日本人報道陣に今後の取材について要望を出そうとした時に発生した。日本のテレビカメラクルーがこの模様を撮影しようとした。「撮らないでくれ」と伊良部。「どうしてか、理由を教えてほしい」と、カメラクルーは撮影を続行しようとした。話し合いを中止し、一度は駐車場の方に向かったが、次の瞬間に猛ダッシュで報道陣の方に戻ってきた。
「どこの社だっ! ビデオを出せ!」。拒否するカメラマンからテレビカメラを奪おうと、激しく押し問答。制止を振り切った伊良部は右足でカメラマンの左足を踏みつけ、力でビデオテープを奪い取った。さらに、このシーンを撮影した新聞6社のカメラマンからはフィルムを抜き取って「一枚でも写真が(新聞に)出たら、訴える!」と持ち去った揚げ句、ビデオテープの方は足で踏みつぶした。
伊良部は日米の報道陣に対して接し方が違う。米マスコミにはきちんと答えるが、日本人記者には何を聞かれても「フツー」とか「ボチボチ」とか、木で鼻をくくったような対応が目立つ。この点について「米メディアに話したことを、日本メディアに言ったように書くな。米メディアにカセットテープを渡したりするのもいるようだが、そんなことをしてもいいのかっ」と、注文を出した。
伊良部には取材に協力する以上、「報道陣サイドも最低限のルールは守ってほしい」とする要求もある。だが、この日のように聞き入れられないケースも多く、不満が増幅されていた。それが爆発したのが、この日の暴挙につながった。
球団も事態を重視し、ブライアン・キャッシュマンGMが「事実関係を調査している」と話した。今日にも伊良部から直接事情を聴くが、何らかの処分が下されるのは必至の情勢となった。
◇伊良部と報道陣のトラブル◇
(日付は97年の現地時間)
◆5月30日 ヤンキース入団発表の日、日本報道陣に対して「出て行ってください」と取材拒否。
◆6月9日 日本人記者の名刺を取り上げて破る。
◆7月26日 マリナーズ戦でKOされた直後の会見で、退席時に会見室内でツバを吐いた。
◆8月9日 練習中に日本人カメラマンに対して大暴投、打撲傷を負わせた。
◇マウンドでは4回2安打無失点
とんだ「場外乱闘」を演じた伊良部だが、マウンドでは先発して4回を投げ、2安打、1三振の無失点だった。3四球と制球難は相変わらず。3盗塁を許すなど毎回走者を背負ったが、結果的には抑えた。レギュラークラス4人を温存した相手とはいえ、昨年後半戦だけで5勝中、2勝を挙げたタイガースは伊良部にとって相性抜群。今季も「タイガー貯金」は健在だった。
直球は平均で148キロから150キロをマーク。球の威力は前回よりも戻った。だが投球をチェックした村上雅則氏(日刊スポーツ評論家)は「走者を出してのクイックモーションに問題がある。あれでは足技でかき回される」と指摘。ストットルマイヤー投手コーチも「いろいろ話し合いをして練習しないといけない部分もある」と盗塁対策に着手する意向を明かした。伊良部は次回12日(同13日)のブレーブス戦に先発する予定だ。
[2008年8月20日13時52分 紙面から]
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