ヤンキース松井秀喜外野手(34)が原点の場所で復活ロードの第1歩を踏み出した。4日、母校石川・星稜高野球部グラウンドを訪問。まっさらな気持ちで今季初スイングを行った。恩師の山下智茂総監督(63)からは「もっと喜怒哀楽を表に出せ」と“脱不動心”のススメも受けた。09年は、自分らしい素の松井秀喜でスタートした。

 松井は山下総監督からバットを受け取ると、まずヘッドの重みを確かめた。そして気持ちよさそうに3度振った。まだ昨年9月の左ひざ内視鏡手術のリハビリ中。本格的な練習ではなかったが「思い出しますね。昔、自分が学生でやっていたころを」というグラウンドで体が自然と動いた。

 ここ数年は雪深い石川ということもあり、室内練習場で新年のあいさつを行うのが慣例だった。だが松井はここ3年、ケガで満足にプレーできていない。この日は晴天で、いつものジャージーではなく背広を着込んだ山下総監督は、屋外のグラウンドで会うことを松井に提案した。

 「今まで僕がジャージーを着て会ったらケガとかしてるし。室内じゃなくて、やっぱり球場で背広着て会ったら、あいつも気合入れてくれるんじゃないかなと思って」と同総監督。その親心に松井も「縁起を担いでくれるのはうれしいですね」と感激した。

 そんな松井に対し、山下総監督はゲキを飛ばした。同総監督はベンチに座った松井の表情が気になるという。「あいつは悪い時すぐ顔に出す。今年は良い時も悪い時も笑顔で、明るく、元気に。この3つがあれば、みんな寄ってくる。ダッグアウトで1人ぽつんと孤独になっていては良いプレーもできない。戦う集団ですから」と説明。そして「精神的に(喜びを)抑えてる部分?

 あるでしょうね。でも出したらいいよね。その方が松井らしい」と「脱不動心」を勧めた。

 このほかにもひざ負担軽減のため体重を現在の100キロ超から95キロに減らすこと、下半身強化のため積極的にノックを受けること、さらには明るい話題で運を呼び込むために、昨年結婚した夫人を公表し、東京で盛大な結婚式を挙げることまでアイデアを挙げた。

 松井は「今ノックを高校時代くらいやったらそれだけで病院行きだよね」とおどけながら「そう思ってアドバイスしてくれるのはうれしいです」と笑顔。今年も同総監督から「自助論(S・スマイルズ)」など6冊の本を贈られ「読書?

 遠征中が多いですね。先生の本はいつも楽しみにしてます」と、最後まで感謝していた。【千葉修宏】