<オープン戦:オリオールズ6-1ドミニカ共和国>◇4日(日本時間5日)◇フロリダ州フォートローダーデール

 オリオールズ上原浩治投手(33)がWBC優勝候補のドミニカ共和国代表を3回2安打無失点に封じた。オープン戦2試合目の調整段階ながら、同地区レッドソックスの主砲デービッド・オルティス内野手(33)に攻略法をテストして右飛に打ち取るなど、収穫十分の登板だった。次回は9日のメッツ戦に先発する予定。

 ドミニカ共和国を応援するラテンのリズムが響く中でも、上原の姿勢は変わらなかった。今キャンプ2試合目の登板。周囲の注目がWBCに集まっても、上原はやるべきことに専念した。「お祭り騒ぎで気が抜けるというか、真剣勝負の雰囲気はなかったですね」。試合後、サラリと振り返ったが、実際は、したたかなまでに、公式戦へのテストに取り組んでいた。

 焦点は、オルティスとの対決だった。レ軍とは今季18試合対戦。その主砲対策は、上原だけでなく、オ軍の浮沈をも左右する。1回表2死二塁。打ち取るイメージは出来上がっていた。まずは、内角速球でストライク。続く2球目のカットボールがカギだった。ボールになったが、この1球をヒザ元に見せることが、この日の最大の目的だった。「あそこが弱点。(最後は)外に落ちる球を振ってくれたら。今日みたいな球なら長打を食らいますね」。結果は4球目の外角高めの甘いフォークを右飛。強い逆風に助けられたが、カットボールで内角を狙う意識を相手に与えるだけで十分だった。

 04年日米野球第1戦。5回まで無失点と好投していた上原は、オルティスに同点適時打を浴びて敗戦投手になった。「選球眼が良く、フォークを振らない印象でした」。宿敵のツボと弱点を踏まえたうえで、この日はいわば公式戦へのまき餌。このほか右打者への内角攻めをテーマに掲げ、さらに強風を計算に入れるプレートさばきは、ベテランならではだった。

 3回を2安打無失点に封じる一方で、変化球の制球、カーブを投げる際のフォームなど課題も残った。本来は50球がメドだったが、わずか36球で終わったため、降板後はブルペンで22球を追加投球。「いい調整になった。いろいろ考えながらやっていきます」。WBC日本代表も参考になるオルティス封じ。「メジャー初勝利」が付録になるほど、濃い内容だった。【四竈衛】