【セントピーターズバーグ(米フロリダ州)29日(日本時間30日)=千葉修宏】24日のマーリンズ戦で左ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂などで今季の復帰が絶望となったレイズ岩村明憲内野手(30)が、本拠地トロピカーナフィールドで会見し、来季のレイズとの契約更新を熱望した。傷は腫れが引いて手術可能になるまで4~6週間、手術後復帰まで6カ月かかる重傷。今季が3年契約の最終年で、来季は球団側が契約更新オプションを持つが、岩村は「前向きに考えて復帰したい。復帰の初戦はトロピカーナで迎えたい」と話した。

 万年最下位のレイズに入団し、昨年はア・リーグ制覇にまでチームを躍進させた。だからこそ岩村は、大ケガからの復帰も「ここで」と決めている。24日に負傷して以来、初めて公の場に姿を見せると、迷うことなく宣言した。「復帰の初戦はトロピカーナで迎えたい。来年以降も、また元気な姿を皆さんにお見せして、野球で魅了することを約束したい」。集まった20人以上の米報道陣がうなずいている。岩村の心意気はしっかりと伝わっていた。

 岩村自身の口から語られるケガの内容は、想像以上に重かった。試合の翌日、チームドクターの診察を受けた。左ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂のほか、左ひざ内側側副靱帯、左足首の三角靱帯を損傷していることが判明。4~6週間、患部を安静にして、側副靱帯、三角靱帯の治癒を待ち、その後、前十字靱帯の手術を受けることになった。6カ月のリハビリがあるが、来春のキャンプには間に合う見込みだという。リハビリもある程度米国でやっていくと当面は帰国しない。

 岩村の残留への気持ちを伝え聞いたフリードマンGMも「アキはグラウンド内外でウチにとっての最重要人物。2010年以降のためにも早く治してほしい。今はチームの勝利のことだけを考える時期だが、オフになれば何かしらの発表ができると思う」と契約延長に前向きだった。

 岩村は現在の心の支えを聞かれると「一番は家族です。チームメートからの声も励みになる。また、ファンの方から早い復帰を願っているという声をもらっていることも、支えになっています」と答えた。この日、主砲ロンゴリアが「ゆっくり休んでくれ」とロッカー室で声をかけてきた。そして指先が分かれている岩村のソックスをおねだりした。岩村は「それをはいて、ホームラン50本くらい打ってくれよ」と、ソックスとともに今季のチームの浮上を託していた。