【フェニックス(米アリゾナ州)26日(日本時間27日)=四竈衛】ドジャース黒田博樹投手(36)の来季去就が、広島復帰かドジャース残留かの二者択一に絞られている可能性が高まった。今日27日(同28日)のダイヤモンドバックス戦で今季最後の先発予定。1年契約でFAとなる今オフは、動向が注目される。古巣広島へ5年ぶりの復帰か、ド軍残留かの決断が焦点。ド軍最後のユニホーム姿となる可能性もあるだけに、今後も注目を集めそうだ。

 決断の時が、次第に迫ってきた。27日の今季最終先発を前に、黒田はキャッチボール、ダッシュなど、いつもと変わらず、軽めの調整を終えた。過去数週間、首痛の影響で体調は万全ではないものの、サラリと言った。「大丈夫だと思います」。ド軍最後のユニホーム姿となる可能性があるものの、リラックスした表情はいつも通りだった。

 今季は、ここまで13勝16敗、防御率3・17。打線の援護がなく、負け数こそ先行していても、FAとなる今オフを前に、黒田の評価はメジャートップクラスで市場解禁となれば、ド軍以外の球団が獲得に動くことも間違いない。だが、黒田にとって、メジャーへのこだわり以上に、古巣広島への思い入れは極めて強い。

 現時点で、黒田は今後の方向性を明かしていない。その一方で、07年オフにメジャー行きを決断して以来、現役の最後を古巣広島で終えたいとの意思は持ち続けてきた。インターネットなどで広島のチーム状況、選手成績などは、常にチェックし続けてきた。ただ、体力が衰え、メジャーで成績が残せない状態で戻るつもりはない。最低でもローテの柱として2ケタ勝てるうちに復帰したいとの意向は、今も変わっていない。「野球人として、毎年、今年が最後と思ってプレーしてきましたから」。予想される金銭面などの条件で広島とド軍を比較すれば、格段の差となることは確実。だが、そんな格差を度外視しても、低迷する古巣へ恩返しする気概は消えていない。

 ただ、ド軍への愛着も少なくない。7月末のトレード期限前には、タイガース、ヤンキースなどが真剣に獲得へ動いたが、全球団に拒否権を持ち、残留を決めた。「キャンプから一緒にやったメンバーで(最後まで)いくのがいいですから」。今季200投球回数突破が確実な黒田に対し、ド軍側も慰留工作には最善を尽くす方針。既にコレッティGMは「オファーは出す。すべては黒田次第」と話すなど、今季同様に1200万ドル(約9億6000万円)前後の条件を用意する姿勢だ。

 最終的には、黒田の決断次第。広島復帰か、ド軍残留か。日米両国からの熱い視線は、今オフも変わらない。