<ワールドシリーズ:カージナルス10-9レンジャーズ>◇第6戦◇27日(日本時間28日)◇ブッシュスタジアム

 【セントルイス(米ミズーリ州)=四竈衛】カージナルス(ナ・リーグ)が、驚異的な粘りでレンジャーズ(ア・リーグ)にサヨナラ勝ちし、対戦成績を3勝3敗のタイに戻した。9回裏、10回裏と2度も2死から2点差を追い付き、最後は11回裏、デービッド・フリース内野手(28)がサヨナラ本塁打を放ち、大熱戦に終止符を打った。第7戦は28日(同29日)、カ軍C・カーペンター、レ軍ハリソンの両先発で行われる。

 名将ラルーサ監督でも描けないような筋書きだった。本拠地ブッシュスタジアムの最多記録となる4万7325人のファンが、とことんまで酔いしれる、劇的な勝利だった。

 主役を務めたのは、今季から三塁の定位置をつかんだフリースだった。9-9の同点で迎えた11回裏。球場内が一瞬、どよめく中、バックスクリーンの芝生席へサヨナラ弾をたたき込んだ。「四球でもバットが折れた安打でもいいから出塁することだけを考えたよ」。ホーム付近で同僚にもみくちゃにされても、笑みが途絶えることはなかった。

 決着弾だけでなく、土俵際でもチームを救った。2点を追う9回裏2死一、二塁。レ軍の抑えフェリスが仕留めにきた時速158キロの速球を右翼フェンス際まで運んだ。試合を振り出しに戻す同点三塁打。「こんな試合にいられるなんて信じられないよ」。再度2点を勝ち越された10回裏2死からは、4番バークマンが同点適時打。いずれも「あと1球、あと1アウト」からのミラクル同点劇だった。

 先に王手をかけられながら、驚異の粘り腰で土俵の中央まで引き戻した。31年間の経験を持つラルーサ監督にとっても、WSの第7戦は初めての最終決戦。「なかなかいい気分だよ。チームのみんながWSを楽しんでいるし、第7戦の経験なんて忘れられないものになるだろう」。06年以来通算11回目の世界一へ。1戦ごとに目まぐるしく変わったシリーズの流れは、最後に大きくカ軍へ傾いた。