巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(49)が5日、地元石川県能美市で野球教室を行った。MLBジャパンと共催で未就学児、小学生向けイベント「PLAY BALL」に参加。恒例となっているフリー打撃のデモンストレーションでは、両翼92メートル、中堅120メートルの物見山野球場で柵越えに挑戦。昼の部では、苦労しながらも26スイング目に右翼スタンドへ放り込んだ。

真夏並みに気温が上昇する中、へばりそうになる体にむち打った。松井氏は「だいぶ、スイング数はかかってしまいましたが、今日はどうしてもホームランを見て帰ってほしかった。普段だったらやめているスイング数だった。今日は出るまで」と話した。参加者は石川県内の在住者が中心。「目の前でホームランを見ると少しはテンションが上がると思う。その放物線を見せてあげたかった」と気持ちを打球に込めた。万雷の拍手を受けると、両手を掲げて喜んだ。

多忙の中、米ニューヨークから地元に駆けつけた。新年早々、石川県は能登半島地震で甚大な被害を受けた。「能登の自分の記憶に残っている街並みがひどい状況でショックを受けた」。祖父母と奥能登まで旅行した。少年野球、柔道の大会、修学旅行、朝市で魚の干物を買った思い出もある。「まだ、大変な生活を強いられているお子さんもいると思う。今、1歩ずつでも前に進んでいって」と被災地に勇気を与えたかった。「スポーツには熱というか、日常を忘れさせてくれるエネルギーがあると思う」と話した。

能登半島には、まだまだインフラが回復していない地域がたくさんある。今後についても「チャンスがあればやりたい。いつか戻って来られれば」と先を見据えた。