<ヤンキース4-1レッドソックス>◇19日(日本時間20日)◇ヤンキースタジアム

 ヤンキースのイチロー外野手(38)が2打席連発で、新本拠地初のカーテンコールで迎えられた。宿敵レッドソックス戦に「8番右翼」で出場し、4回と6回にリードを広げるソロ本塁打を右翼席に突き刺した。1試合2発は今季2度目で、通算7度は日本人選手の単独1位に浮上。入場券完売となった超満員ヤンキースタジアムでの声援に、「気持ち良かった」と3安打2打点の固め打ちで応えた。

 球場に響く4万8620人のイチローコールに、ヘルメットを脱いでおじぎした。専門局ESPNでも全米中継された注目の舞台で、イチローが「いやー、気持ちよかったですね」と移籍後初のカーテンコールに酔いしれた。この2年で5勝0敗とヤ軍の天敵だったベケットから4回、リードを3点に広げる6号ソロを右翼2階席に突き刺し、6回にも7号ソロでベケットを攻略。その直後、ベンチに引き揚げたイチローを呼び戻す大歓声が上がった。

 イチローも「タイミングが分からないところで(コールが)来る。ちょっと対応の仕方が分からない。謎ですね」と戸惑ったほど、この日はイチローコールが何度も起こった。移籍1号、メジャー通算100号を放った7月30日オリオールズ戦でもカーテンコールのリクエストはあったが、「恥ずかしいわ。(100号を)2年で打つ人もいますから」と遠慮。ようやく実現し、照れながら会釈するイチローに地元ファンが沸いた。

 8回の4打席目には田沢とメジャー初対決。2球目の速球を「(本塁打を)狙ったのは最後だけですよ。狙いどきでしたけど」と3連発を狙って強振したがファウルになり、3球目を遊撃への内野安打にした。米メディア向けの会見では「強く振りすぎて首を痛めました」とおどけた。移籍後2度目の3安打固め打ち。移籍後は26試合で3割2分2厘、3本塁打、13打点と好調を持続する。

 この日3安打2得点と活躍した同僚ジーターは「イチが素晴らしい打者だというのは誰もが知っている。彼は広角に打てるし、相手投手は抑えるのが大変だよ」と称賛した。レ軍バレンタイン監督は「ジーターとイチローにやられた」と脱帽。ジラルディ監督は「シアトルは非常に大きな球場だけど、ここは違う。ここでは本塁打をもっと打つんじゃないか」と、イチローの長打力にも期待した。【水次祥子】

 ▼イチローがマリナーズに在籍していた6月2日ホワイトソックス戦以来の2本塁打。イチローの1試合2本塁打は通算7度目で、シーズン2度は初。松井秀(6度)を上回り、日本人大リーガーでは最多回数となった。日本人の1試合2本塁打回数は(1)イチロー7(2)松井秀6(3)井口、城島=各2(5)新庄、松井稼、田口、青木=各1。