海外移籍が可能なフリーエージェント(FA)権を取得し、メジャー挑戦が決定的な阪神藤川球児投手(32)が、最多セーブ男級の期待をかけられていることが14日、わかった。米データ情報サイト「ファングラフ」で特集記事が組まれ「日本のマリアノ・リベラ」と紹介された。流出を翻意させたい中村GMも、もはやお手上げか。

 トレードマークの「HINOTAMA」が全米を席巻しそうな予感だ。今オフにメジャー挑戦する決意を固めている藤川が、米大メジャーの歴代最高クローザーになぞらえられた。野球ファンが注視する米国サイト・ファングラフ。見出しには「藤川は日本のマリアノ・リベラ」と躍った。

 リベラはヤンキースの守護神。今季は右膝手術の影響で出場9試合にとどまるが、歴代1位の608セーブをマークするなど、米大史上最強のリリーフエースだ。同サイトでは藤川の成績に注目。過去4年間の防御率、FIP(守備が関わらない奪三振、与四死球、被本塁打での評価)はセ・リーグ平均よりも大きく下回っており、抜群の安定感を高く評価した。「本物だろう。2013年、複数の球団に加われるくらいの力がある」とも指摘され、救援陣が手薄な球団からのオファーを予測している。

 14日の巨人戦は登板機会がなかったが、レンジャーズなどが東京ドームに視察に訪れている。同サイトでは、あるナ・リーグ球団スカウトのコメントとして「メジャーでは今までのように圧倒的な投球はできないだろうが、それでも抑えやセットアッパーをやる力はある。メジャーでは高めに浮けば力で持っていかれるので、低めに集めた方がいい」と紹介し、日本通算219セーブ右腕に対し、2年契約で800万ドルから1000万ドル前後と推測している。

 また、移籍先候補としてブルペン補強が急務のエンゼルスをはじめ、ホワイトソックス、カージナルス、レッドソックス、日本人投手獲得に実績のあるヤンキース、オリオールズも挙げる。安定した結果を残す救援投手は不足がちで、藤川にとってチャンスは十分。比較対象として名前が挙がったリベラは伝説的なカットボールで打者を完璧に封じ込めてきた。適応力の高い藤川がメジャーで同じような投球をできれば…。夢はでっかく広がる一方だ。

 ◆マリアノ・リベラ

 1969年11月29日、パナマ生まれ。90年2月にヤンキースと契約。95年に初昇格後は先発も務めたが、翌年からリリーフに定着。97年から抑えに昇格し公式戦では99、01、04年と3度のセーブ王に輝く。メジャー通算1051試合に登板し、史上1位の608セーブをマーク。76勝58敗で防御率2・21。188センチ、88キロ。右投げ右打ち。

 ◆ファングラフ

 メジャーリーグ、マイナーリーグなどのデータを提供する民間のサイト。メジャーのチームに情報を提供する「ベースボール・インフォ・ソリューションズ」などのデータを使用。試合の詳細の他、独自にデータを分析しており、米メディアの間でも人気が高い。