ポスティングシステムを使ってメジャー移籍する楽天田中将大投手(25)が緊急渡米したことが8日、分かった。自主トレを行っていた関東の施設を離れ、この日、アメリカに向かった。一部には総額で1億ドル(約105億円)を超える大型契約になるという見方もあり、代理人であるケーシー・クロース氏の戦略で、田中本人も同席して交渉を進めるようだ。田中の米国入りで、一気に交渉が進展する可能性もある。

 田中が緊急渡米した。昨年まで楽天で広報部長を務め、今後はサポート役を務める佐藤芳記氏(36)とともに、この日の便で米国入り。現地でのスケジュールは明らかになっていないが、代理人のケーシー・クロース氏と合流して各球団との交渉に臨むものとみられる。

 田中獲得は、ヤンキース、ドジャースなど数多くの球団が熱望している。米メディアで総額1億ドル(約105億円)にも及ぶなどと報じられるほどで、大型契約になることは間違いない。大金を投じる各球団も慎重に交渉を進めるとみられ、田中サイドも代理人のみならず、田中本人も同席する形を選択したようだ。

 昨年末に楽天球団から新ポスティングシステムによる移籍を認められたが、年末年始の休暇に入ったため交渉は具体化していなかった。休暇が明けた今週からクロース氏が本格的な交渉に入るとみられていたが、現状で動きは表面化していない。ただ、交渉期限は米東部時間24日午後5時(日本時間25日午前7時)に定められており、大型契約をまとめるまでに残された時間は決して多くない。主役の田中が米国入りしたことで、交渉が一気に進展する可能性もある。

 交渉段階での渡米は、新しいポスティングシステムならではといえる。旧システムでは、落札した1球団としか交渉できなかった。そのため、選手が視察する施設や都市は限られた。新システムとなったことで、田中は、楽天が設定した上限2000万ドル(約21億円)の譲渡金を支払う意思のある全球団と交渉可能となった。フリーエージェント(FA)に近い立場となり、選択肢が増えた。渡米して、最後は自らの目で直接、各球団を比較することで、悔いのない選択ができる。

 田中の獲得に名乗りを上げる球団は数多い。ヤンキース、ドジャースといった資金力ある球団を筆頭に、エンゼルス、レンジャーズ、ダイヤモンドバックス、マリナーズなどが、獲得へ熱心な姿勢を見せていると報じられている。マー君の行き先はどこになるのか。決まる日が近づいている。