日本人としてメジャー史上4人目の開幕投手に内定しているレンジャーズ・ダルビッシュ有投手(27)が、さらなる進化を求めながら大役が待つシーズンに備える。29日、古巣の日本ハム2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷でブルペン入り。周囲に減量への取り組みを伝え、しなやかで引き締まった体が目を引いた。

 海の向こうでワシントン監督がダルビッシュを開幕投手に指名してから、わずか数日。練習を終えたダルビッシュが、慎重に口を開いた。「僕はケガをしない体を作るだけなので。頑張ります」。短い言葉に、日本人としては5年ぶりとなる、メジャー開幕投手への思いを集約した。

 思い描くのは、沢村賞を獲得した07年の肉体だ。この日、再会した武田久に「お前、痩せたなあ」と声をかけられると「そんなこと、ないですよ」と照れ笑いで応じたものの、変化は明らかだった。公式発表では225ポンド(約102キロ)の体重だが、日本ハム在籍時を知るトレーナーは「ちょっと落としていると言っていたし、5キロ以上は落ちているように見えた」。ダルビッシュも「体の調子もいいし、右肩の上がり具合もいい。07年をイメージしている」と、日本ハム関係者に打ち明けたという。07年2月の体重は88キロ。日本で初の開幕投手を務め、15勝5敗でリーグ連覇に貢献。入団3年目だった。

 メジャーでも3年目で大役の座を射止めたのは、偶然なのか。不思議に重なる数字の符号と肉体の進化。メジャー奪三振王となった右腕は、さらなる高みを目指し牙を研ぐ。【中島宙恵】