<レッズ6-5カブス>◇第2試合◇8日(日本時間9日)◇グレートアメリカンボールパーク

 【シンシナティ(米オハイオ州)=佐藤直子通信員】待ち続けた日がやってきた!

 カブス和田毅投手(33)が渡米3年目でついにメジャーデビューを果たし、5回1失点と好投した。救援陣が崩れて白星こそ逃したが、緩急を駆使する持ち味を発揮した。首脳陣は明言しなかったが、後半戦の先発ローテーション入りに向けて、いい印象を与えたことは間違いない。

 久しぶりの緊張感だった。まばゆいばかりの照明と約3万人の観客が生み出す熱気に包まれながら、マウンドに立った。11年日本シリーズ以来の大舞台。大きく深呼吸をして投じた初球速球は、高めに外れてボールとなった。「正直緊張した」と先頭に四球を与えたが、初回を無失点で切り抜けて落ち着いた。

 最速91マイル(約147キロ)の速球を軸にチェンジアップ、スライダー、カーブで緩急をつけながら配球した。3、4回は3者凡退。5回に先頭から3連打で迎えた無死満塁のピンチは、味方失策で1点を失ったが4点リードを守った。中継ぎ陣が崩れ、初勝利には手が届かなかったが、試合後はレンテリア監督とホイヤーGMに「いい仕事だった」とねぎらわれた。

 日本球界で通算107勝を挙げた左腕が、オリオールズと2年契約を結び、渡米したのが12年。左肘の故障が発覚し、同年5月に靱帯(じんたい)再建手術を受けるなど苦難続きだった。昨季3Aで戦列復帰して5勝したが、メジャー昇格を果たすことなくオ軍を退団。日本に帰る選択肢もあっただろうが、カブスのマイナー契約からでも泥臭くメジャーを目指す道を選んだ。

 和田

 これまで3年間迷惑をかけてしまったオリオールズ、快く送り出してくれたホークス、日本のファンに、本当に申し訳なさと悔しさがあった。その方々のためにも、絶対メジャーのマウンドに立ってやるって思いでやってきた。それがようやく実現しました。

 ダブルヘッダー用の規定で出場登録されたため、翌日にはマイナーに戻る。わずか1試合だったが、メジャーの打者と対戦し「考えれば考えるほど山積み」と言うほど、今後の課題や目標が見えた。メジャーデビューは始まりで、終わりではない。「結果を出していかないと。本当に始まったばかり。これからですね」。ベテラン33歳の精悍(せいかん)な顔に、充実感と未来への期待感があふれていた。

 ▼和田が大リーグデビュー。日本人大リーガーは通算52人目(投手38人、野手14人)。投手38人のうちデビュー戦で先発したのは14人目で、自責点0は野茂、吉井、石井に次いで4人目となった。

 ▼今季の日本人投手は6人が先発(黒田、田中、ダルビッシュ、岩隈、松坂、和田)。日本人のシーズン6人先発は最多タイで99、02、09年に次ぎ5年ぶり。

 ◆ダブルヘッダー限定ルール

 12年に適用されたルールで、昼夜が別興行(観客入れ替え制)となるダブルヘッダーに限り、25人枠であるアクティブ・ロースター(メジャーでプレー可能な選手)を26人に増員できる。今季から出場は第2試合のみ。通常マイナーに降格した選手は、最低10日間は昇格できないが「26番目の男」には適用されない。降格後も即昇格が可能。