【ボルティモア(米メリーランド州)11日(日本時間12日)=四竈衛】右肘靱帯(じんたい)の部分断裂のため、故障者リスト(DL)入りしたヤンキース田中将大投手(25)が、離脱後初めてコメントを発表した。球団広報を通し、日米報道陣に対して英語と日本語で心境を吐露。志半ばで戦列を離れることをファンや同僚に謝罪する一方、再起への意気込みをつづった。

 苦境に立たされても、田中はしっかりと現実を受け止めていた。思いがけないアクシデントに見舞われても、ファンや同僚に対し、率直かつ冷静なメッセージを残した。「このような形でチームを離れることになり、チームメート、そしてファンの皆様には大変申し訳なく思っております」。無念さを伝える一方で、「これも長い野球人生の一部であると受け止めています」と、検査結果から目を背けようとはしなかった。

 前日10日、担当医の出張先シアトルまで足を運んで受けた診察結果は、靱帯の部分断裂という「重症」だった。デビュー以来、順調に白星を重ね、メジャートップの12勝を挙げた田中にすれば、過去に経験もなく、予想以上の衝撃だったに違いない。だが、「大切なのは、しっかりと自分の身体と向き合い、1日でも早く復帰できるように努めることだと思います」と現実をしっかりと受け止めた。

 英文のコメントでも、球団や同僚、ファンに対して謝罪した。米国では、規定違反などで罰則を受けた選手が謝罪することはあっても、故障した選手が謝る習慣はない。日本人では、松井秀喜氏がヤンキース時代の06年、左手首を骨折した際に謝罪した例は有名だ。ジラルディ監督は「それだけ彼は野球を愛し、高いレベルで4~5日置きに投げる責任を肩に背負ってきたからだろう」と胸の内を思いやった。現時点では、復帰まで「最低6週間」とされているものの、依然として手術の可能性は残されており、地元メディアも静観する論調に終始した。

 「元気な姿を見せられるように-」。投げられないつらさや不安は、本人しか分からない。それでも田中は、過去を悔いることなく、すでに前を向いていた。<田中コメント全文>

 このような形でチームを離れることになり、チームメート、そしてファンの皆様には大変申し訳なく思っております。球団からの発表の通り、これから数週間のリハビリに入りますが、これも長い野球人生の一部であると受け止めています。選手としてプレーを続けている以上、故障するリスクは常にあります。そういった状況に陥ったとき大切なのは、しっかりと自分の身体と向き合い、1日でも早く復帰できるように努めることだと思います。皆様に元気な姿を見せられるよう頑張ります。