ドジャース傘下マイナーに日本人コーチが誕生した。石橋史匡氏(31)が1月にルーキーリーグ・オグデンのコーチに就任。これまで同球団でブルペン捕手を務め、経験を積んだ。日本の球団からコーチ留学の形でメジャーやマイナーのコーチになる例はあるが、極めて異例となる、日本のプロ野球を経ずにメジャー球団傘下のコーチに抜てきされた。

 高校球児だった石橋氏は東農大二(群馬)卒業後に米国の短大でプレー。米独立リーグや社会人のクラブチームにも所属するなど、プレーの場を求めて日米を転戦。08年にドジャースとマイナー契約を結んだ。だが10年のキャンプで引退勧告を受け、同球団のブルペン捕手となった。その職も失ったが「ショックもあったけど『もっと勉強しろ』という球団からのメッセージだと考えた」とへこたれず、昨季はルーキーリーグでコーチ見習を経験。あらゆる雑用をこなす日々だった。

 コーチ抜てきの知らせに「考えてもいなかった」と驚きを隠せない。「もっと勉強して、1人でも多くの選手を上のレベルに上げられるよう全力を注ぎたい」と目を輝かせた。

 ◆石橋史匡(いしばし・ふみまさ)1983年(昭58)9月11日、群馬県生まれ。東農大二高を卒業後、カリフォルニア州のピアース短大で野球を続け、卒業後に米独立リーグでプレー。05年には米独立ゴールデン・ベースボールリーグで日本選手だけで構成されたサムライ・ベアーズに所属。08年にドジャースのテストを受け、捕手としてマイナー契約を結び入団、1Aで08年に2試合、10年に1試合に出場。その後、ド軍でブルペン捕手を務めた。

 ◆米球界の日本人コーチ

 メジャー球団傘下には日本人スタッフが増えており、特にマッサージ技術に優れている日本人トレーナーは多い。だがコーチは狭き門。マイナーで監督、打撃コーチ、投手コーチなどの首脳陣は1球団3~4人しかおらず、その中に入るためには指導力の他に、人脈や人柄なども重視される。メジャー30球団傘下のマイナーで日本人コーチは現在、ド軍傘下の石橋氏とエンゼルス傘下ルーキーリーグで打撃コーチを務める高橋雄介氏のみ。その他のコーチやスタッフでは、パイレーツにコンディショニングコーチの百瀬喜代志氏(日体大OB)がおり、ジャイアンツにはブルペン捕手の植松泰良氏がいる。