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中日浅尾 又吉から「8回の男」奪い返す

シート打撃に登板し武山に投げ込む浅尾(撮影・前岡正明)
シート打撃に登板し武山に投げ込む浅尾(撮影・前岡正明)

 おれがセットアッパーだ。ポジションを奪い返す-。復活を目指す中日浅尾拓也投手(30)が18日、キャンプ初のシート打撃に登板した。荒木、森野、大島ら主力打者とも対戦し、2回1安打無失点。肩、肘の故障から不本意なシーズンが続く11年MVP右腕が、ライバルとなる2年目又吉克樹と張り合うように、剛速球だけに頼らないニュースタイルを披露した。

 浅尾が今キャンプ初めての実戦形式マウンドで、進化した姿を見せた。2イニング目の先頭で森野に対した。変化球を2球続けてカウント1-1とすると、直球でファウル、続くフォークがボール球。最後は高めスライダーで二ゴロに仕留めた。

 この日はスライダー、フォーク、パームと全球種を駆使。調整段階で最速は140キロだったが、キレのある変化球はストライクゾーンに集まった。150キロ近い直球でグイグイ押す従来のスタイルとは明らかに違う。打者の反応を見ながら精度の高い変化球でカウントを重ねる。降板後はいつになく冗舌だった。

 「打撃投手とは違って抑えることが練習になる。変化球は意外とストライクが取れた。今日は低めというより、しっかり腕を振ってストライクゾーンに投げることを考えた」

 度重なるケガが、考え方を変えた。ちょうど1年前の今頃は、右肘の張りを訴えてシート打撃登板を回避。3月に「右肘関節内側の側副靱帯(じんたい)損傷」と診断され、1軍昇格は6月までずれ込んだ。ここ数年はケガとリハビリの繰り返し。もう、残像を追いかけることはやめた。

 「前はスピードが出なくなって、1回、1回へこんでいた。速い球を投げようと、疲れているのに思いっきり腕を振って壊していた。ケガを生かさないといけない」

 これまでと立場も逆転した。昨季は、ブレークした08年以降ではワーストの22試合登板で防御率6・16。一方、プロ1年目の又吉が67試合に投げるなど浅尾の指定席だった「8回」を脅かす存在になった。残酷すぎるプロの原理を、浅尾は理解している。

 「今までは自分のポジションを守る立場だったけど、それがなくなった。しっかり競争に入っていけるように(キャンプ期間を)大事にしていきたい」

 失うものはない。定位置を奪い返すためには結果で力を誇示するしかない。いつもは穏やかな浅尾の目がぎらついていた。【桝井聡】

 [2015年2月19日10時48分 紙面から]









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