何度も頭を下げて、ケジメをつけた。日本ハム木田優夫ゼネラルマネジャー(GM)補佐(46)が4日、巨人とのオープン戦(札幌ドーム)の前に引退セレモニーを行った。昨季限りでBCリーグ石川で、メジャーも含めて計28年間の現役生活に幕。石川で昨年に1度は引退試合をしたが、両球団とも古巣で今回、NPBでも実現した。「本当に申し訳ありません」と恐縮の極みだった。

 尊敬する2つの大きな背中が、最高の舞台装置になった。巨人の大先輩、原監督。「好きな野球で悩むことは幸せなこと」と教えられた。長い野球人生の支えだった。木田GM補佐は「言われた通り、幸せでした」と感謝し、打者の原監督へ最後の1球を投げ込んだ。肩の荷が下りた。

 公私に慕う栗山監督。「とことん野球をやれ」と背中を押され、46歳まで現役を続けた。26年前。89年5月25日、巨人-ヤクルト戦(東京ドーム)。巨人木田はヤクルト栗山に死球を与え、病院送りにした。次カードの福岡遠征時。受け取った多数のファンレターに目を通すと、毛色が違う内容が1通。女性から「よくも私の栗山英樹さんに、ぶつけたわね」と恨み節が、したためられていたという。

 そんな数奇な縁が幾重にもこの日、交わった。今季から日本ハムで第2の人生をスタートした。栗山監督は、存在価値をこう表した。「巨人っぽくない。洗練されていない、すごさがある」。木田GM補佐は呼応するように、こう振り返った。「カッコいい野球人生じゃ、ありませんでした」。スーツを身にまとい、まだまだ続く。【高山通史】