新キャプテンが意地の一撃をぶち込んだ。5回無死。DeNA筒香嘉智外野手(23)が菅野の初球をとらえた。「感触は完璧で言うことはありません」と、内角に食い込んでくるカットボールを強振。右翼席の最深部に突き刺した。チーム初安打となる主砲の1発で15年シーズンの幕開けを告げた。

 テレビ中継の特別ゲストとして東京ドームを訪れていた松井秀喜氏(40)の目の前で快音を届けた。2月の宜野湾キャンプ以来の再会に「誰もが認める4番打者だと思います」と、尊敬する大先輩に必死に成長しようとしている姿を披露。とてつもない高みを目指すからこそ、悔しさも倍になって胸に残る。「開幕で1本打てたことは良かった。でもチームが負けたら意味がない。得点圏で打てていないので納得はできない」。自身初の開幕弾よりも得点圏で凡打した6回と8回の打席を悔いた。

 主将としても4番としてもチームの勝利こそが最大評価につながる。中畑清監督(61)は「最初に筒香が出て、きっかけをつくってくれた。反撃ののろしだった」とたたえつつも「すべてはうまくいかない。巨人はローゲームの中ですきを与えない。勝ち方を知っている」と1点差の惜敗を悔しがった。

 開幕白星発進を逃した一方で、今後に向けた手応えも十分に予感させた。満塁の好機を2度つくって、相手エース菅野に食い下がり、中継ぎ陣も追加点を与えずに最後まで持ちこたえた。中畑監督は「戦ってみて、最後の最後まで行くんだという姿勢、元気があった。試合の内容はつくれた」と収穫を挙げた。残り142試合。反撃の機会はまだまだ多分にある。【為田聡史】