勝先生! 遼馬が投げると白星が生まれるぜよ! 8回に2番手で上がった松田遼馬投手(21)が3者凡退、2奪三振でカープの上位を黙らせた。鳥谷の逆転2ランを受け、チームのハーラー独走の3勝目。この日が21歳の誕生日だった藤浪シンタロウから松田リョウマへのヤングリレーが決まり、虎の夜明けは近いぜよ!

 ベンチ前で阪神松田は笑顔でハイタッチを交わした。チームの勝利につながったのも、開幕からもう3度目だ。21歳のラッキーボーイ右腕が、また一段と輝いていた。

 「3人で抑えられたのがよかった。流れをつくるじゃないけど、1点差なんで逆転もあると思って投げました」

 その言葉どおり、流れをガラッと変えた。丸を投ゴロ、堂林を三振に抑えた。天谷を外角高めの152キロ直球で空振り三振に仕留めると、甲子園が沸き上がった。この日、初めて3者凡退で守りを終え、テンポよく攻撃につなげた。直後に劇的な逆転。和田監督は「開幕3連戦で2つ勝って、そういうものを持ち合わせている選手だと思う。8回に松田がしっかり止めたところで、打者陣も『よし、行くぞ』という投球を見せてくれたことで逆転につながった」とうなずいた。チーム独走、リーグでも巨人高木勇に並んでトップの3勝目を手にした。

 「負けない」という強い気持ちがチームを勝利に導いているのかもしれない。同じ速球派中継ぎ右腕、ドラフト2位石崎の存在が刺激になった。

 「石崎さんはライバルだと思っている。僕は勝ち取らないといけない立場なので」。普段の優しい表情から一変し、強い口調で決意を語った。シーズン開幕から無失点を続けてきたが、ピリッとしない投球で石崎にセットアッパーのポジションを奪われかけた。「8回の男」と期待され、オープン戦から英才教育を受けてきた意地もある。「負けられないと思ってますよ」。危機感が21歳の原動力になった。

 「先発に勝ちがつくのが一番。でもチームが勝てたという意味で気持ちいいですね。連敗している中で勝てたのがうれしいですね」

 誰にも負けない-。松田の負けん気の強さが勝利をもたらしている。【宮崎えり子】

 ▼阪神の2番手で8回に登板した松田に今季3勝目が転がり込んだ。阪神で開幕から14試合目までに3勝をマークしたのは04年の井川と福原以来。ともに先発で井川が開幕から13試合目、福原が同14試合目、それぞれ3度目登板で無傷で白星を重ねた。オール救援で14試合目までの3勝は、38年春シーズンで3試合目、7試合目、10試合目(5月21日セネタース=西京極)で勝利投手になった藤村富美男に次ぎ2番目の早さ。