DeNAが今日にも首位に立つ可能性が出てきた。首位巨人が敗れたためゲーム差を0・5に縮めた。4番筒香嘉智外野手(23)が、9戦ぶりとなる7号ソロを含む3安打3打点で3連勝に導いた。チームは7連敗を喫してから、ここ11戦は9勝2敗で貯金は今季最多タイの4まで増やした。中畑清監督(61)が移動日に遭遇した幸運の新幹線「ドクターイエロー」の御利益もあってか、ゴールデンウイークの快進撃が止まらない。

 背中で風を感じていた。2点リードの3回1死。筒香がカウント0-2からの3球目を完璧に捉えた。ヤクルト八木の、ど真ん中に入ってきたチェンジアップを軽々と右翼席上段にまで運んだ。「打席でも結構、風を感じていたし、打った瞬間に行ったかなと思いました」。追い風に乗った打球は、快晴の横浜の空に舞い上がり、大観衆の中に飛び込んだ。

 4月24日の中日戦以来、9戦ぶりの7号ソロでリーグ本塁打キングに並んだ。さらに5回1死一、三塁の好機で迎えた第3打席では、八木の初球を思い切りよく振り切り、右翼線を破る2点適時二塁打。「チャンスは見逃さずにどんどん行こうと」と、積極性を前面に押し出し、今季27打点目をマークした。2位以下を大きく引き離すリーグ打点王と本塁打の“2冠”に君臨した。「打点は1人では稼げない。前の打者の方が必死につないでくれているからのものなので」と感謝した。

 横浜スタジアムは今季最多の2万8954人がスタンドを埋め尽くした。黄色い声援が勝利を後押ししたことは間違いないが、実は「黄色い新幹線」も快進撃を支えていた。4月27日の広島への移動日に、中畑監督を先導するかのように新横浜駅の新幹線ホームに「ドクターイエロー」が現れた。この日になって、さらに幸運秘話を明かした。

 中畑監督 実は、あの日、2回見たんだよ。新大阪駅で今度は反対側のホームでね。御利益、ありがとうございます!

 遭遇翌日の28日から5勝2敗と、電車道を快走中。同率2位のヤクルト相手にエースと4番の働きで、危なげない横綱相撲を展開した。中畑監督は「理想的な勝ち方ができた。大合格点。(筒香は)まさに4番の姿だった」と大絶賛した。

 ただ、浮かれているだけではない。「明日が大事。(三浦)大輔に大いに期待している」と引き締めた。首位巨人に0・5ゲーム差と肉薄。今日5日のヤクルト戦で4カード連続の勝ち越しを決め、8日から宿敵巨人を迎え撃つ。横浜の追い風は、まだまだやみそうにない。【為田聡史】

 ◆DeNA中畑監督とドクターイエロー 4月27日に広島へ移動するJR新横浜駅の下りホームで、黄色に塗装された新幹線が目の前に出現した。13年8月以来となる人生2度目の遭遇に「なんだ、あれは!? 幸運の新幹線じゃないか!」と取材を打ち切り、新幹線の最後尾付近まで駆け寄り記念写真をパチリ。さらに途中のJR新大阪駅では、車窓から「ドクターイエロー」を目撃した。同監督は現役時代にホーム試合で黄色いリストバンドを愛用しており「俺のラッキーカラーも黄色。これはいいことがある」と吉兆を予感していた。