久しぶりに味わう心地よさだった。3回2死走者なし。DeNA筒香嘉智外野手(23)が振り切った打球は右翼席上段に消えた。「久々のホームランは気持ち良かった」という会心の1発は、12戦ぶりの先制8号ソロ。5回にも9号ソロを右翼席に放り込み、今季初で昨年7月16日広島戦以来となる2打席連発。ぶっちぎりの打点とともに、本塁打でもトップに並んだ。

 開幕から不動の4番。たとえアーチは止まっても、動じなかった。「相手投手もあることだし、その日の自分のコンディションもある。(本塁打を)意識し過ぎると、打撃を崩してしまう。いつも通りスイングをすることだけを考えています」。その結果が、ともに内寄り高めの直球をとらえた2本。「素直にバットが出てくれました。今日はいい形で打てましたね」と喜んだ。

 疲れはもちろんある。「チームが打てないとき、自分が打たないと、という責任がありますからね」。しかし、それが4番。重責に正面から向き合いながら、主将として、何げない気遣いをみせる。三浦が今季初めて1軍に合流した5日。ロッカー室で「リーゼントブルース」を流し、ベテラン右腕を迎え入れた。三浦も自身の登場曲での粋な歓迎に「ありがたいよね。気を使ってもらえて」と笑顔で感謝した。

 この日の筒香は、バットで大ベテランの2勝目を援護。「今日は三浦さんが王さんの記録を超えたんで、絶対勝たないといけないと思いました」。節目の日を最高の仕事で祝った「TSUTSUGOH」。その背中には、番長に負けないオーラが漂ってきた。【佐竹実】