想定外にもロッテ・アルフレド・デスパイネ外野手(28)は切り替えた。8回2死走者なし。前打者の今江がオリックス佐藤達から頭部に死球を受けた。危険球で投手が塚原に交代。デスパイネは「びっくりした」。塚原との対戦経験は1打席のみ。だが「スカウティングリポートがある。情報を入れた」と動じない。初球ボール球を見逃した後の2球目。フォークをすくい上げ、左翼席中段へ決勝の7号2ランを放った。

 エンジンがかかってきた。来日2年目は出遅れ、20日の西武戦でスタメンを外れた。21日の同戦では戻ったが、伊東勤監督(52)は「(相手の先発が)左だから」と説明していた。すると、本塁打2本を含む5安打の固め打ち。この日の相手先発は右のディクソンだったが、指揮官は迷わなかった。

 スタメン復帰を決意させたのは、5安打の結果より内容だった。前日の7回に放った6号ソロは、際どい球をファウルでしのぎ、最後に甘い変化球をとらえた。この日は、一撃必殺だ。伊東監督は「すごいね! 今まで打てなくてデスパイネを責めてた俺を責めたい。あのフォークを打たれたら、投げる球がない」と感服した。3連勝で、交流戦前の勝率5割復帰に望みをつないだ。デスパイネは「まだ100%じゃない。シーズンは長い」。頼もしく聞こえた。【古川真弥】