勝利にも、後味の悪さが残った。DeNAが今季15試合目となる逆転勝利で阪神を下し、交流戦前、最後の試合を飾った。初回の3点ビハインドをはね返す会心の勝利だったが、1回に大黒柱の筒香嘉智外野手(23)が走塁中に右太もも裏を痛めて負傷交代するアクシデント。また、9回には山崎康の危険球退場を巡り、中畑清監督(61)と阪神和田豊監督(52)がもみ合うシーンもあった。今後への懸念を残したものの、セ・リーグ首位のまま、明日26日から「日本生命セ・パ交流戦」に突入する。

 中畑監督が血相を変えてベンチを飛び出した。3点リードの9回。守護神の山崎康を送り込んだが、初球が阪神上本の側頭部に当たった。これに激怒した和田監督が捕手嶺井に詰め寄ると、その間に割って入った。瞬く間に、両軍ナインが入り乱れる乱闘騒ぎに発展した。興奮状態にある両監督が、冷静さを取り戻すまでの数分間、グラウンドは騒然となった。

 山崎康は危険球退場となり、急きょ田中が投入された。ピンチを招き国吉までつぎ込むも、何とか2点差で逃げ切った。だが、勝利の余韻には浸れなかった。中畑監督は「後味の悪い勝ち方になってしまった。危険球という結果を出してしまって、すまないという気持ち。ついつい熱くなってしまった」と謝罪の言葉を口にした。試合後には和田監督の元を訪れ「すいませんでした」と深々と頭を下げた。

 それでも、試合に勝った事実は揺るがない。1回に筒香が負傷交代するアクシデントの中で逆転勝利を収めた。この日、左足首の捻挫から復帰した梶谷が3安打猛打賞の活躍で打線をけん引した。筒香に代わって途中出場した下園は、3回無死一塁から右翼線への適時二塁打を放ち「筒香魂で打ちました!」。梶谷も「筒香はあれだけの打者なので僕1人で埋めるのは無理。(離脱となれば)彼が一番悔しいはず。束になってチーム全体で穴を埋められるように頑張りたい」とチーム一丸を強調した。

 開幕から快進撃でセ・リーグ首位に立ち、貯金10で交流戦に入る。節目の一戦だからこそ、勢いを加速させる戦いを見せたかった。常に全力で「一戦入魂」を信条に掲げる中畑監督は「いい野球をやっているだけに、後味を悪くしたくなかった。そこに悔いが残る。今日は勝った気分になれない」と最後まで表情は浮かなかった。交流戦で、またスカッとした勝利を見せたい。【為田聡史】