中日堂上直倫内野手(26)は紛れもなくヒーローだった。今季3度目の先発でまずは3回、吉川のスライダーを左翼席に運ぶ1号ソロ。これが今季9打席目で初安打。勢いに乗った6回は先頭で中前打を放すと、エルナンデスの中前打で生還した。

 「練習から調子がよかった。毎日、スタメンの気持ちで朝から準備をしている」。大きかったのは8回だ。同点にされた直後の攻撃で、先頭で四球を選び、エルナンデスの犠飛で決勝のホームイン。3打席全出塁で3得点。9番打者が攻撃の起点になった。谷繁元信兼任監督(44)も「直倫が先頭で塁に出たからそういう展開になった」と、たたえた。

 三塁で6度の守備機会をそつなくこなし、最後も併殺でゲームセット。背番号1をはく奪されて、昨オフに戦力外になった兄剛裕(巨人)が背負っていた「63」で、ようやく“開幕”。「兄の分までやろうという気持ちがある」とさらなる活躍を誓った。