また離脱者…。中日吉見一起投手(30)が出場選手登録を抹消された。先発した前日5月30日の日本ハム戦(札幌ドーム)で右肘の不調を訴え3回で降板していた。痛みはないというが検査を受ける可能性あり、様子を見るために抹消となった。ローテの軸になりつつあっただけに、チームにとって不安のタネ。故障者続きの中日は日本ハムに2連敗で今季ワースト借金4。正念場を迎えている。

 一夜明け、札幌ドームでの試合前練習に参加した吉見の表情は決して悲愴(ひそう)なものではなかった。「僕は話せないので…」とだけ言ったが、突然の降板劇の詳細が分かってきた。

 変調は3回の途中だった。友利投手コーチは「制球のいい投手なのに、はっきりしたボール球が続いていた。何か異変があると思った」と振り返る。その回のピンチを抑え、ベンチに戻った吉見は「(肘が)変な感じがする」と説明したが、続投を希望した。肘痛を再発させたくない首脳陣は交代を決めた。吉見は悔しい表情を浮かべた-。

 痛みはないという。本人の感覚による部分の大きいナーバスな問題だけに、即抹消の措置がとられた。谷繁監督は「ちょっと調べてみないと分からない。それからでしょう」と見通しが不透明な状況を明かした。いずれにしろ、今季7試合で3勝無敗、防御率0・84と大黒柱になりつつあったエースの離脱は痛い。

 故障者続出が戦いのリズムに影響を及ぼしているのは間違いない。札幌の初戦は大野の力投で白星。勢いをつなげたい2戦目は大谷を攻めて2-0としながら吉見が降板。そして3戦目のバルデスも初回5失点とつまずいた。好調だった4月戦線ではあまりなかったことが起き始めた。

 1週間で平田、ナニータ、谷繁、吉見が登録抹消された。それでも日本ハム戦2試合に先発マスクをかぶりプロ初打点も挙げた杉山や、初スタメンで3安打1打点の小笠原ら全員でカバーし、日本ハムに食らいついた。和田も順調に安打を積み上げ、森野の復帰も秒読みになっている。

 次は西武、オリックス相手にナゴヤドーム6連戦。「とにかく準備をして、その試合その試合で反省をしながらまたやっていく」と谷繁監督。不運を言い訳にしているヒマはないと言わんばかりだった。【柏原誠】

<吉見の経過アラカルト>

 ◆手術 13年6月に右肘の内側側副靱帯の再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受ける

 ◆復帰も 14年7月に1カ月ぶりに復帰したが、3戦目に痛み再発。そのままシーズン終了。

 ◆オープン戦 3月8日の楽天戦を右肘の張りで回避。開幕を万全で迎えるために大事をとった。

 ◆復活 開幕ローテ入りし、4月1日巨人戦(ナゴヤドーム)6回無失点で708日ぶり勝利。その後4試合にわたって自己最長の25イニング連続無失点。

 ◆投げ抹消 最初の2登板は投げた翌日に出場選手登録を抹消。中10日で投げたが、4試合目から通常ローテ入り。

 ◆予告先発回避 5月17日の阪神戦は当日に「体調不良」で先発を回避した。抹消はせずに、同22日巨人戦に先発して7回2失点。