阪神能見篤史投手(36)が突如崩れた。5回まで3安打無失点の好投がウソのように、7回につかまった。犠飛を挟んだ3連打で1点差に迫られ、2番栗山に四球を与えたところ(1死一、二塁)で交代。2番手安藤が2死から逆転弾を食らい、負け投手に。6回1/3を8安打5失点。両リーグワーストの6敗目を喫した。

 誰もが能見デーになると予感していた。中7日で迎えたこの日、虎の誇る左腕は初回から全身全霊で強力打線にぶつかった。

 「最初からとばしていった。慎重にというよりしっかり攻める、そっちの気持ちだった」

 そう語ったように序盤はつけいる隙を与えない。4回には浅村、中村、メヒアのクリーンアップを3者連続三振に斬った。

 しかし悪夢は突然訪れた。6回1死から浅村に中前打を浴び、続く中村を三振に取ると、突然マウンドに中西投手コーチが向かった。「1度引っかけたからマウンドに向かった」。直後から爪をしきりに気にしだした左腕は、2死二塁でメヒアに左前適時打を打たれた。球速も140キロにとどかなかった直球をはじき返された。

 7回を踏ん張れなかった能見は「ばてただけです。ただ単にね」。中西投手コーチも「状態は良かった。あの回だけ」とアクシデントも絡んだ終盤を悔やんだ。5回から警告試合となり、インコースを攻めづらくなる不運も重なった。5月はこれで1勝4敗の防御率4・19。曇天の皐月(さつき)を乗り越え、6月こそ進撃する。