上位球団がもたつく間に、コイがセ界の流れをさかのぼった。広島は、巨人に連勝。福井優也投手(27)が投げては8回2安打2失点、打っては決勝点をたたき出し、投打で奮闘した。打線ではシアーホルツが苦手の左投手から1発。カギを握る選手の働きで、2カード連続勝ち越しを決めた。1・5ゲーム差の首位ヤクルトと今日から3連戦。上位浮上への準備は整った。

 マウンド上で懸命に腕を振った福井が、5回はバットを握って腕を振った。詰まらされた弱い打球が幸いし、三遊間で捕球した坂本は本塁送球を諦めた。三塁走者田中が生還。プロ初打点が決勝点となった。投げては8回2安打2失点で6勝目を手にした。今や前田、黒田、ジョンソンに次ぐ先発の柱。混セを抜け出すための投のキーマンが、チームを連勝に導いた。

 巨人3連戦の初戦を黒田で落としながら、前日は新人薮田の力投で勝利。「刺激になったというか、自分も負けていられない。自分は自分の投球をしようと思っていた」。序盤3回までに2点のリードを追い付かれた。しかし、カーブやフォークなどをカウント球に攻めの投球を貫いた。4回以降は無安打。今季最長8回を投げきり「疲れました」と充実の表情で汗を拭った。

 攻撃でもキーマンが快音を響かせた。1回1死一塁から、2試合ぶりにスタメン復帰のシアーホルツがポレダの内寄りの真っすぐを捉えた。右中間への2ランで5試合連続の先制点をもたらした。6月13日以来の7号は来日後初の左腕からの1発。得点力が期待され、シーズン途中に加入した男が本領を発揮した。

 広島は2カード連続勝ち越しで、最多8あった借金を3まで減らした。交流戦後に緒方監督が掲げた「球宴までに借金完済」も見えてきた。上位球団がもたつく間に、首位ヤクルトに1・5ゲーム差。息を吹き返した。今日から本拠地で迎えるヤクルトを一気飲みして、完済ロードを突っ走る。【前原淳】