カープにも首位チャンスあり! 広島のエース前田健太投手(27)が7回4安打1失点で7勝目を挙げた。1回に打者一巡の猛攻で5点の援護をもらい、ツバメ打線を寄せ付けない圧倒的な投球でチームを3連勝に導いた。5位ながら首位ヤクルトと0・5ゲーム差。上位の結果次第では今日4日に、同率ながら広島が混セの頂点に立つ可能性もある。

 急激に曲がるスライダーでヤクルトの4番畠山を空振り三振に打ち取った。広島前田はギアを上げた。味方打線が5点をくれた直後の2回。反撃に燃えるヤクルトの猛者たちを封じた。これでペースを一気に引き込んだ。得点直後に失点した前回の反省を生かしていた。小走りでベンチに戻る顔もまた、自然と一段と引き締まっていた。

 「力が入った。勝手にそうなりました。めちゃくちゃいいわけではなかったけど、スライダーも曲がりはよかったし、悪くはなかったですね」

 トップギアで走り続けた。3回まで1人の走者も許さない。最速151キロをマークした直球と伝家の宝刀スライダーがおもしろいように決まった。7回に「バテちゃいました」と四球と連打で失点したが、さすがの7回4安打1失点。中5日での登板にも問題はなく自身3連勝で、チームトップタイの7勝目だ。

 思い通りに動く体に繊細なバランス感覚がある。「スライダーはいつでも投げられるし、曲がり方もある程度、調整出来ます」とあっさりと言う。さらに大胆にも開幕2戦目にモーションをワインドアップに変えている。「ノーワインドより、一連の流れのなかでバランスがいい。そんなに難しい話ではないですよ」。さらに最後は足を上げきった後の微妙な間を調整することで、タイミングをずらす投球術を駆使している。

 歓喜のお立ち台では前回の27日中日戦(マツダスタジアム)でプレゼント出来なかったため「直筆イラストTシャツ」を2枚描いた。「カントリー(エルドレッド)は富田林出身でPL(学園)の先輩です」-。爆笑を巻き起こしファンを楽しませる義務も忘れない。チームは最大8あった借金を2まで一気に減らした。「これから(自分も)よくなっていきます。球宴までに5割以上を目指して頑張ります」。混戦の主役はマエケンが引っ張る広島だ。【池本泰尚】

 ▼首位ヤクルトから5位広島まではわずか0・5ゲーム差。過去に上位5チームが接近した例は、6月以降では79年6月15日セ・リーグと00年6月5日セ・リーグの1ゲーム差、5月中には85年5月11日セ・リーグの0・5ゲーム差があったが、全球団が70試合以上消化した7月に上位5チームが0・5ゲーム差は史上初の大混戦。

 ◆今日5球団に首位可能性 セ・リーグは勝率で順位を決め、勝率が同じ場合は勝利数の多い方が上位。シーズン途中では、勝率と勝利数が同じ場合は同順位で表記するため、今日は5球団に首位の可能性が出てきた。5位広島が首位の条件は広島○、阪神△、巨人△か●で、このケースは阪神と広島が勝利数も同じの同率首位になる。4位DeNAの首位はDeNA○、ヤクルト△か●、巨人△か●で、3位巨人の首位は巨人○、ヤクルト△か●、阪神△か●が条件になる。2位阪神は○の場合、ヤクルト△か●、△の場合、ヤクルト●、巨人△か●で首位になる。