巨人がDeNAにサヨナラ負けして4連敗、借金も1となり、首位を明け渡して前半戦を折り返した。9回、抑えの沢村が2死満塁のピンチを招き、幕切れは三塁村田が強いゴロをはじく適時失策だった。打線の調子がなかなか上がらず、得意の綿密な野球にもほころびが生じている。借金は1。オールスターブレークを良薬にする。

 土砂降りが突如、やんだ。同点の9回裏、2死満塁。デッド・オア・アライブで沢村が対したのは昨日の友、ロペスだった。ぬれた人工芝で加速したゴロが村田を襲った。名手なら捕れる-。グラブに当てるも捕れない。サヨナラ適時失策で、DeNAに首位を明け渡した。

 原辰徳監督(56)は言った。「前半戦の戦い方では、到底、目標を達成できない」。9回裏は、絶対タブーである先頭への四球がほころびのきっかけだった。結末に至る大きな過程にも、苦しんだ巨人の前半戦がぎっしり詰まっていた。「しのいでいたけど、3点目が取れなかった」と原監督は振り返った。

 相手先発の2年目砂田に手を焼いた。5回の同点は2死無走者から、浮き出したボールの恩恵を受けた連続四球が起点。タイムリーは代打の相川だった。7回無死一塁で代走鈴木のカードを切るも、村田が2球バントを失敗。安打でつないでも攻めの流れが滞留し、加藤が再びバントをし損ね3点目を取り逃した。

 不気味さがない。真綿で首を絞めるがごとく、アウトと引き換えに走者を進め、追い詰めていく。打線に波があろうとも、ベンチとグラウンドが一体となって1点を奪えたから、巨人は勝ってきた。投手陣も「おはこ」である理詰めの攻めができない。DeNAの4番筒香に2安打3四死球。3度先頭で迎え、チャンスメークされ、巨人戦の今季通算打率が4割1分2厘まで膨らんだ。内角を通す制球がなく肘にぶつけ、意図したコースと逆側に放り、打たれる。パワーで上回るのは困難なスラッガーに対し、一丸で策を打つ前の段階でえじきになっている。

 借金1、2位で折り返す。この押しくらまんじゅう状態で「○○ターン」は意味を持たない。「上乗せして後半戦に向かう」と原監督。リーグ再開はいきなりの甲子園、伝統の一戦。目が覚めるか。【宮下敬至】

 ▼巨人は42勝43敗1分けの借金1で前半戦を終了した。巨人が借金を抱えての折り返しは11年以来、4年ぶり10度目。過去9度のうち逆転Vは73年の1度だけ。原監督は03、06、11年と借金ターンから優勝を逃しているが、今季はどうか。