42歳のベテランが、151キロをはじき返した。オリックス谷佳知外野手が、751日ぶりのタイムリーで後半2連勝発進を導いた。神戸でのお立ち台は、巨人移籍前の06年以来9年ぶり。「声援が力に変わって、打つことができました!」。チーム復帰2年目。育ててもらった球場で完全復活を示した。

 初回だ。縞田の押し出し四球で先制し、なお2死満塁の場面。菊池の外角速球を捉え、一塁線を破る2点打を放った。「押し出しの後の初球(狙い)はベテランならでは。あの1本が大きかった」。福良監督代行も絶賛の一撃は、今なお日本記録の年間52二塁打(01年)をマークした谷らしいスタンディングダブル。巨人時代の13年6月30日ヤクルト戦(静岡)以来の適時打が一挙4点を呼んだ。

 「昨日も打ったし、自分の中ではいいスイングができていますね」。後半から再昇格し、前日もスタメン起用に応えて今季初安打をマーク。この日は6回にもミゲルから左前打を放ち、同じく2年ぶりのマルチも決めた。昨年は1年間でわずか2安打だったが、2試合で3本。2000安打まであと74本と迫ったが、このペースなら今季中にも達成する勢いだ。「まだ近づいてないですよ。1戦ずつ1打席を大事にしていきたい」。本人は照れ笑いだったが、今季谷の1軍在籍試合は無傷の6連勝。チームは最下位だが、ここ9試合で7勝1敗1分け。「勝っていけば3位も視野に入ってくる。一戦必勝。それを目指してやっていく」。帰ってきた男が体現したネバーギブアップ。熱い戦いはこれからだ。【松井清員】