阪神守護神の呉昇桓投手(33)に23日、“横振り禁止令”が出た。リーグトップの26セーブを挙げるが、前日22日の巨人戦で1回をピシャリと抑えるまで、4度のマルチ安打を含む8戦連続被安打。特に7月に入って球数も増え、150キロ台の剛球も影を潜めてピンチを招く場面が目立っている。その要因を中西投手コーチは「横振りになっている」と指摘。勝負の夏場へ投球フォーム改善を指示した。

 呉昇桓の特徴は打者にも脅威を与えるインステップにある。だが踏み出す左足が三塁側に入り過ぎる分、反動で腕の振りが横になりがちになる。真っすぐが走らず、着地も不安定な分、制球も安定感を欠く。山口投手コーチは「ブルペンでは縦振りになっているけど、マウンドに行くと違ってくる。そのバランスが(好調時と比べて)悪くなった」と説明。横振りが多い投法を縦振りに戻すことに、復活のカギがあるとした。

 もちろん呉昇桓にも期するものがある。完璧投球が少ないことに「気にしてないけど満足はしていない。ボール自体は悪くはない」とコメント。日韓セーブ王のプライドをのぞかせた。

 インステップは藤浪も課題としたが、投法を修正して今季の活躍につなげている。呉昇桓の場合はインステップは持ち味として残し、腕の振りだけ見直して対処する。横を縦にできた時、真夏の進撃を支える復活祭が訪れる。【松井清員】