オリックスが総力戦で首位をたたき、同一カード3連敗を阻止した。ヒーローインタビューに呼ばれた中村一生外野手(33)は苦笑いだ。「サインはエンドランだったが、打球が上がったので…。みんなの力で落ちてくれた。本当は低い打球を打ちたかった」。延長11回、1死一塁からソフトバンク森福のスライダーを打ち上げた。下がっていた左翼手と遊撃手の間にポトリ。代走小島が好走塁で一気に生還する決勝の適時二塁打となった。

 中村は6回から守備固めで途中出場。スタンドには東京から駆けつけた両親が観戦していた。「関東の試合にはいつも来てくれる。これで全部の球場を制覇なんです」。加えて娘の5歳の誕生日。「いいタイミングで打てて良かった。運がありますよ」と笑った。

 さらに途中出場の駿太が2点適時打を放ち、岩崎が5点目を追加。中日から移籍後初打点でダメを押した。ソフトバンクが特別ユニホームを着用するイベント「鷹の祭典」と日曜日の連勝をともに11で止め、最下位ながら意地は見せた。

 福良監督代行も苦笑いで引き揚げてきた。「疲れた。1つ勝つのは大変。最後は途中から出た選手がよく働いた」。先発の近藤が7回1死まで無安打の快投。だが9回2死から平野佳が内川に同点打を浴びた。それでも一丸でカバーした。

 勝ち越した直後に投入の海田が連打を浴びると、故障から復帰後3連投となる塚原をつぎ込んで逃げ切った。「本当は休ませようと思ったけど仕方ない。3連敗だけは避けないとね」。福良監督代行はホッとひと息ついた。【大池和幸】